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阿部勇樹、レスターの思い出と優勝。
「一番戸惑ったのは、名前のコール」

posted2016/05/30 07:00

 
阿部勇樹、レスターの思い出と優勝。「一番戸惑ったのは、名前のコール」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

2010年の夏にレスターへ移籍し、ゴールも決めた阿部勇樹。彼の万能性はイングランドでも評価の対象だった。

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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Shigeki Yamamoto

2010年に浦和レッズからレスター・シティへ移籍した阿部勇樹。ある日の練習後、今季の欧州サッカー界である古巣のプレミアリーグ優勝と、岡崎慎司への視線、そして当時の思い出を語ってくれた。

――今シーズンのプレミアで、かつて阿部選手が所属していたレスター・シティが優勝しました。まずは率直な感想から聞かせていただけますか?

阿部:びっくりした、というのが正直なところですよね。

 シーズンが始まる前、ブックメーカーでは5000倍ものオッズがついていたし、プレミアでは、ここ何年も上位があまり変わらなかったじゃないですか。

 でも強豪が波に乗れないのと対照的に、レスターはしっかり勝ち点をとっていった。だから途中からは、決して単なるミラクルではないんだろうなと思って観ていました。

――レスターが行けるかもしれないという感触は、いつ頃からありました?

阿部:今シーズンは途中からレスター、トッテナム、アーセナル、マンチェスター・シティが4強でしたよね。しかも終盤になると、アーセナルが失速して、シティもなかなか勝ちきれなくなって、レスターとトッテナムに優勝争いが絞られてきた。面白いことになるかもしれないと思ったのは、あの頃からですね。

――レスターの試合は、いつもご覧になっていました?

阿部:自分の練習や試合があるのでライブ(生中継)ではないですけど、試合は再放送をしているし、ハイライトもやっているので、それを観たりという感じですね。

――優勝が決まった瞬間は?

阿部:トッテナムが引き分けてレスターの優勝が決まったのは、朝、起きてから知りました。優勝がかかったマンチェスター・ユナイテッド戦は観ていましたが、先制されたのに同点に追いついて、引き分けに持ち込んでいる。やっぱりチームに勢いがあったんでしょうね。

「フィッシュアンドチップスは食べ過ぎないほうがいい」

――優勝が決まったあと、チーム関係者に連絡を取られたりしました?

阿部:オカ(岡崎慎司)にはすぐ連絡しました。本人は「信じられないですねー」みたいな反応でしたね(笑)。

――岡崎選手は、レスターに移籍する際、阿部選手からいろいろアドバイスをもらったと語っています。

阿部:いや、僕はアドバイスなんて大してしてないですよ。

 たしかにイングランドのサッカーのことや、フィジカル面のことは聞かれたりしましたけど、もともとオカはドイツでも大きい選手を相手にプレーしてきた。ヨーロッパにも長くいるから、まあ生活の面でも大丈夫だろうと。

 ただフィッシュアンドチップスは、食べ過ぎないほうがいいと言いました(笑)。僕が初めて食べた時はあまりのでかさにびっくりして、これは一人じゃ食べきれないなと思ったぐらいだったから。あとはレスターの街のことを話したぐらいですね。

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