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野球人に最も愛されたスポーツライター、
永谷脩が球界に遺した足跡。
posted2016/04/13 17:10
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Nanae Suzuki
3月23日、東京プリンスホテルにて、2014年6月12日に急性白血病で亡くなったスポーツライターの永谷脩氏(享年68)を「偲ぶ会」が行なわれた。
福岡ソフトバンクホークス取締役会長の王貞治氏、野球評論家の江夏豊氏、東尾修氏、山田久志氏、侍ジャパン野球日本代表投手コーチの権藤博氏らが発起人となり、野球関係者、マスコミ関係者、青山学院大学時代の友人など、約250人が集まった。
永谷氏は「スポーツグラフィック・ナンバー」に1982年以来、32年以上にわたって1000本以上の記事を寄稿してきた。この日の「偲ぶ会」では、永谷氏が遺した仕事の数々の中から厳選の53本の記事をまとめた『永谷脩の仕事 ~プロ野球ベストセレクション 珠玉の53篇~』の刊行も記念し、野球人に最も愛されたスポーツライターの仕事を語らい、思い出しながら貴重なひとときを過ごした。
ここに5人の発起人の方々が「永谷脩を偲ぶ会」で寄せたスピーチを全文公開する。
●権藤博氏(侍ジャパン野球日本代表投手コーチ)
楽しい思い出ばかりしかないんですが、ここで永谷さんのことを話すのは胸が痛みます。とは言いながら楽しい思い出ばっかりでしたね。お会いしてからずーっとバカを言いながら、あの旺盛な取材力で、それをジョークに任せて……。
私の隣に座ったときに、「私の文章は100円使い捨てライターで、嘘で固めた80行、隣に座って50行、くしゃみしたついでに30行。権藤さん、嘘は書けないでしょうけど、嘘っていうのはね、その中に本当があるんですよ」ってね。
ワールドシリーズにも行きました。それにキャンプも。野茂(英雄)のところにも行ったし、松坂(大輔)のところも行ったし、イチローのところも行ったし。いろんなところに行きましたけど、楽しい思い出ばかりで、バカを言う、ジョークを言う話ばっかりで。
ここでこういうことを述べるというのは、本当に辛いですけど、思い起こすのは、楽しい思い出ばかりです。私より8つも下で、先に逝ってしまって、だけど今でもあの世で原稿を書いているんじゃないですか。そのくらい好きで……まあ何とも言えないですね。この辺にしてください。失礼します。