球道雑記BACK NUMBER
「唯一の存在」ダルの11番を継ぐ大谷。
涌井秀章は開幕戦の相手に何を思う。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/19 10:50
昨年、2010年以来の二桁勝利とともに2009年ぶりの最多勝を手にし、完全復活をした涌井。いまや名実ともにロッテのエースだ。
増えた内野ゴロは、涌井にとっていい傾向。
その調整法は、今季もここまで変わっていない。
「最初はちょろちょろと走る量も少なく、投げる量も少なく、ウエイトも気が向いたときにやる程度ですけど、(昨年は)シーズン途中から質量を上げていって、そこから夏に1度メニューを軽くして、8月くらいにまた走り込んだり、質量を上げていく感じでやっていました」
開幕を8日後に控えた3月17日、涌井は宣言通り7回85球を投げて最終調整を行った。結果は5安打無失点。直球は最速146kmを計測したが、球速にはこだわらず、丁寧に内野ゴロを中心に打たせて獲るピッチングに終始した。
この辺りは埼玉西武時代に2度の最多勝を獲ったあのときと重なる部分であり、彼の良い傾向である。
派手さはないが、「強さ」を感じさせる投球。
試合後のコメントでは「無事にここまでいい調整ができてきたので、オープン戦の最後で点を取られなかったのは良かったと思います」と、語った。
楠コーチもこれに太鼓判を押す。
「昨年よりも調整はうまく行っていると感じます。昨年はオープン戦でダメだったんですけど、開幕に合わせて良くなった感じだったので……。(コンディショニングとしては)大きくヤマを作ることは良くないことなんですけど、今のように徐々に上げて行って、良い状態になっていければ、それだけチームの勝利にも近付いていけるんじゃないでしょうか」
数字だけでは表せない彼のポテンシャル。2016年の開幕は日本球界最高峰の投げ合いが見られそうだ。