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「円陣声出し」金銭授受を暴露した
笠原元投手は記者会見を開くべき。

posted2016/03/18 10:50

 
「円陣声出し」金銭授受を暴露した笠原元投手は記者会見を開くべき。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

試合に勝つと円陣で発声した選手に1人5000円の“ご祝儀”を渡していたという。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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NIKKAN SPORTS

 不信。

 いま次々と不祥事が発覚している巨人に対して野球ファンだけではなく人々が抱く想いは、この言葉に尽きるような気がする。

 昨年10月に笠原将生、福田聡志、松本竜也3投手の野球賭博関与が発覚。このときの衝撃はメガトン級だったし、1年前から笠原が違法カジノに出入りしていることを把握しながら厳しく対処していなかったこと等、巨人の管理責任を問う声はあった。

 それでも球団として内部調査を行なって事実関係を発表し、日本野球機構(NPB)に3選手を告発して機構の裁きを受けた。3選手も協約違反で失格選手となる重い処分を受けたことで、少なくとも巨人ファンの多くはこの痛みを受け止めながらも、新たなシーズンへの希望をもう1度抱いたはずである。

 ところがそれから5カ月もしないうちに、新たに高木京介投手の賭博関与が発覚した。しかもチーム内の練習や試合結果で、金銭の授受が行なわれていたことも明るみに出たのだ。

 練習中にミスした選手が、他の選手に“罰金”を払ったり、また試合前の円陣で声出しを担当した選手が、勝てば他の選手から“賞金”を受け取り、負ければ逆にお金を支払う。プロ野球の世界では、金額の多寡は別にして、他のチームでもない話ではない。

重いのは、積極的に事実を公表しなかったこと。

 実際、巨人での金銭のやりとりが明らかになると、阪神の四藤慶一郎球団社長が「似たようなことをやっていたことは否定できない」とコメント。その後も西武、中日、ソフトバンクも同じようなことがあったと発表された。これが決していいことだ、と言うつもりはない。ただ現実問題としてこういうことが、プロ野球の世界ではある程度、常態化しているという事実を否定するつもりもない。

 ただ、である。

 巨人にとって重いのは昨年、野球賭博問題であれだけ世間的な批判を浴び、厳しい視線が注がれていることが分かっているのに、巨人がこうした事実を積極的に公表しなかったことである。

 賭博行為ではないにしろ、チーム内で、勝敗に関わって金銭授受が行なわれていたのは事実である。NPBの調査委員会も賭博ではないと認定し公表しなかったとしても、チームの膿を出し切ろうという意思があるのならば、自らこうした疑わしき行為についても明らかにして、再生への道を示すべきだったのではないだろうか。

【次ページ】 報道によって明るみに出て、追認するばかり。

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