プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「円陣声出し」金銭授受を暴露した
笠原元投手は記者会見を開くべき。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/18 10:50
試合に勝つと円陣で発声した選手に1人5000円の“ご祝儀”を渡していたという。
報道によって明るみに出て、追認するばかり。
特に今回明らかになったことは、例えば賭け麻雀やトランプとは違って、グラウンドの中での金銭のやりとりである。だからこそより神経質にならなければならないはずなのだ。実際問題として巨人は賭け行為ではないと言いながらも、問題発覚後には「紛らわしい行為」として、そうした金銭授受を禁止している。最初からその意識があるならば、問題を把握した時点で事実を公表し、禁止通達を出したことを説明すべきだった。
ところがそうはしなかった。そうして高木投手の賭博関与も、チーム内での野球を巡る金銭のやりとりも、すべてがメディアの報道をきっかけに表面化し、巨人が追認するという形になってしまっている。
その事実が、ファンに不信を抱かせる一番の原因であると推察される。
事が明らかになってから「技術向上のため」、「ゲン担ぎのようなもの」と説明しても、「ならばなぜ自ら明らかにしなかったのか」、「隠蔽しようとしていたのではないか」という疑念を抱かせる。しかもそれが1つや2つではないから、不信感は増幅されるのである。
罰則を求めるなら、ドラフト指名権や補強の制限?
こうした不祥事を背景に「巨人は開幕を辞退すべき」という声も聞こえるが、そんなことをすれば事態は混乱するばかりだろう。
巨人の管理責任、対応の悪さは当然批判されて然るべきだが、選手は個人事業主であり、球団とは個々が独立した契約関係にある。逆に言えば賭博に手を染めた選手のために、他の選手たちがプレーの機会を奪われるということは避けるべきだろう。ましてや公式戦辞退などということになったら、選手ばかりか球場やグッズ製造、販売などの関係企業、それこそ球場のビールの売り子さんや周辺の飲食店等も含めて、様々な方面への影響が大きすぎる。
罰則を求めるなら、ドラフト指名権の剥奪や補強に関連する権利の制限などの方が現実的である。もちろん今後の事態の推移次第では、機構としても罰金だけではなく、管理責任を問い、罰則を考える可能性もあるだろう。