なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
澤穂希が岩渕真奈に託した2つの事。
「10番はつけたいけどキャプテンは……」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byItaru Chiba
posted2016/02/27 10:50
2012年のU-20W杯で話題になったヤングなでしことはほぼ同年代。「次世代」の旗手が岩渕であることは間違いない。
澤が去っても、大きくメンバーが変わらない難しさ。
澤が去ったあとの時代が始まる。とはいえ、大きくメンバーが変わるわけでもない。特に先発11人は、昨年のカナダW杯とほぼ同じはずだ。そのあたりの難しさを痛感している。
「周りのメディアは世代交代どうっていうじゃないですか。自分は若い頃からなでしこに入れてもらってて、ある程度このチームに慣れたからどういうプレーをしなきゃいけないとかわかってる部分もある。でも、今のチームに若い子がぽんと入ってこういうプレーをしなさいって言われても、相当な自信とキャラクターがないと難しいと思うんです」
北京五輪前の'07年末から指揮を執る佐々木監督と、ある程度固定することでオートマチズムを強化してきたメンバーたち。その成果が'11年のドイツW杯優勝、'12年のロンドン五輪銀メダル、そして昨年のカナダW杯の準優勝だ。だからこそ、その中に新参者が入ったところで、すぐに機能するのは難しい。
「いつかはしなきゃいけない世代交代だとは思うし、自分が頑張ってそれを進める一人にならなきゃとは思うんですけどね。今自分も日本にいないから、どんな若い選手がいるかよく知らないですけど、でも、世代交代できてないとか、若手がいないとかって言われるのは悔しくて。自分の場所から覆せるようにしないといけないなと思います」
「自分も若いころはどこかでびびったりしてた」
バイエルンでプレーする中で、思うことがある。
「20歳過ぎたら若くないってこっちに来て思いました。上下関係がないとか文化もあるけど、若い子は自由だしとても良い。自分も若いころ自由にやってたとはいえどこかでびびってたりしてたんです。でもこっちの若い子は年上に文句も言うし(笑)。こっちに来て感じることはあります」
では、その姿勢を日本代表に還元すれば良いかといえば、そう単純な話でもない。
「日本には日本の文化があるから。でもそういう自由な選手が出てきたらいいなとは思いますけどね。自分も、そういう存在でなきゃいけない。今となっては上の人にも意見を言えるけど、でも求めることはもっと求めていかないとって。そういうことに気づかされた感じです」
必要なことは周りに求める強さを持った自分でなくてはならない。そんな覚悟をにじませる。