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新シーズンの巨人はどうなる?
堤辰佳GMに本音インタビュー敢行!
posted2016/01/30 12:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
高橋由伸新監督を迎えた2016年の巨人がスタートを切る。
ただ、昨年リーグ4連覇を逃したチームの内情に目を向ければ、前途は決して順風満帆とは言えないだろう。大黒柱だった阿部慎之助内野手に陰りが見え始め、次代の中心選手として期待された坂本勇人内野手、長野久義外野手も成績的には伸び悩む状態が続いている。加えて昨年は野球賭博に関与した3投手が失格選手となるスキャンダルも噴出して、もはや名門の看板は地に落ちたとも言える惨状となっているのだ。
その中で高橋新監督と二人三脚で常勝チームへと導く使命を帯びて編成部門を担当するのが堤辰佳GMである。
昨年5月の就任以降、オフには三軍制度を新設するなど積極的に動いたが、V奪回のための補強では新外国人選手の元ニューヨーク・ヤンキース、ギャレット・ジョーンズ外野手と前ロッテのルイス・クルーズ内野手、フリーエージェントで西武から脇谷亮太内野手を出戻り獲得したぐらいで目玉となる大物補強はなかった。
果たして2016年の巨人のチーム編成の意図はどこにあり、これからどこに向かうのか。編成のキーマンを直撃した。
堤GM「伝統を作り直して、さらに積み上げる」
――まず堤GMは巨人とはどういうチームでなければならないと考えますか?
「巨人には長い伝統の中で多くの偉大な先輩諸氏が作ってきた81年の歴史がある。その中には巨人軍しかない伝統というのがある。特に去年、ああいう出来事(野球賭博事件)があり、その伝統が崩れかけているんじゃないか、と。だからもう一度、伝統を作り直して、さらに積み上げていかなければ、巨人の存在意義、価値が下がっていくということですね」
――ONのV9時代はもちろんですが、その後も巨人は特別なチームだという意識がファンと選手にあった。それが巨人の選手らしい振る舞いに結びついていたと思いますが、そういう意識が失われたことが、昨年の野球賭博の問題にも出たのではないでしょうか?
「野球賭博はもちろんそうです。その他にも固有名詞はあげませんが、去年も髪型のこととか、門限破りのこととか色々とありました。ちっちゃいことかもしれない。ただ、巨人軍の選手としての立ち居振る舞いに緩みがあったんじゃないか。そこは編成とは関係ないですが、しっかり正して厳しさもなければいけない」
――チーム編成として巨人らしさを取り戻すためには何が必要だと考えますか?
「誰もが考えているのは常勝でなければいけないということです。そのためには本来なら下から出てくる選手で一軍を構成して、足りないところを他から補うというのが理想だと思います。これは理想論です。で、そうできるかどうかはまだわからないですけど、もう1回、育成も見直さないといけないと思って三軍を作りました。1人でもいいので支配下に入るだけではなく、一軍の戦力になる選手が湧き上がってくる状況を作れないか、と」