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新シーズンの巨人はどうなる?
堤辰佳GMに本音インタビュー敢行!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/01/30 12:00
ドラフト1位の桜井俊貴(立命大)のもとへ指名あいさつに赴いた時の堤GM。
巨人に「甲子園のスター」は必要ないのか?
――ドラフトでもスター選手を避けて単独指名を行う傾向がみられます。ただ巨人に甲子園のスターは必要ではないですか? その年、1番力のあるスターにいくのが巨人のドラフトではなかったかという意見もあります。
「昔のそういう指名ができたときというのは(チーム戦力的に)余裕があったと思うんです。もちろん昨年も高校生にいくなら平沢(大河内野手、ロッテ1位指名)かオコエ(瑠偉外野手、楽天1位指名)というのは当然ありました。もし彼らを指名したときの戦力バランスはどうなるかも検討もしました。すでに2人の外国人野手の獲得を前提に考えていましたし、トレードやトライアウトでは真ん中に座れるピッチャーは取れませんし。しかも(野球賭博で)3人(の投手)が解雇になった時点で、投手陣はどうなるのかも考えなければならなかった。そうして自分なりに甲子園のスター選手を獲りたい気持ちを封印し、ピッチャーを決断して、(投手の中で1番評価の高かった)桜井(俊貴投手、立命館大学)を指名した。甲子園のスターを指名することが(近い将来には)必要だと思っているからこそ封印したんです。ですからこの何年かの内にそういうドラフトをするときが必ずあると思っています」
――巨人復権には人気、スター性も必要?
「伝統を支えるのは人気なのでブランド力、ブランドイメージをキープするための編成は当然ありですよね。経済的な効果とか、そういうことを考慮した編成もありです。ただ純粋にチーム編成を考えたとき、そことは利害が反することもある。どこでふんぎるかです」
――今後は純粋にチーム力を基準とした考えで巨人の編成は進んでいくということですか?
「僕はそう考えています。ただ今年の編成に関しては凌ぎ勝つための編成ですから。その間に、どれだけ外の血と中の血とをうまく入れ込んでいって、チームが変わっていけるかが課題ですよね」
「高橋監督には凌ぎ勝って欲しい」
――チームの現状は非常に厳しい。今季は大変な戦で、常勝というテーマにこたえるのに時間がかかるかもしれませんね。
「そうは言っても時間はないし、とにかく凌ぎ切っていかないといけない。今年も(トレード期限の)7月まで色々なことを模索しますけど、高橋監督には(この戦力で)凌ぎ勝って欲しいなというのが純粋な気持ちです。劇的に変えていくのは難しいと思うので」
――最後に堤GMは巨人ファンがチームに何を望んでいると思いますか?
「やっぱり勝ってほしい、優勝してほしいということだと思います。巨人ファンはやっぱり勝つことですから。最大のファンサービス、ファンに訴える最大のテーマは優勝だと思っています」