プロ野球亭日乗BACK NUMBER
新シーズンの巨人はどうなる?
堤辰佳GMに本音インタビュー敢行!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/01/30 12:00
ドラフト1位の桜井俊貴(立命大)のもとへ指名あいさつに赴いた時の堤GM。
なぜ次代の軸となる選手が現れないのか?
――純粋に競争主義に徹する?
「昨年のチームを観て、やっぱり競争がないんだなと正直、思いましたね。5月、6月だったかな……片岡(治大内野手)がケガで戦線離脱して、村田もいなくなったときに吉川(大幾内野手)や寺内(崇幸内野手)がレギュラーで出ていた。しかし片岡が戻ってきたら、すぐに片岡がレギュラーなんですよ。やっぱりケガが治ればすぐにレギュラーなんです。あの6月に僕は、結果的にはダメだったんですけど内野手のトレードを一生懸命探したんです。振り返ってみると競争がなかったからここまで落ちてきたのかな、と思いました」
――でも坂本は原辰徳前監督が我慢して使い続けて戦力的に引き上げていった。
「よく坂本のケースを言われますけど、あのときも二岡にたまたまああいうタイミング(開幕直後のケガとその後の二軍落ち)があった。それじゃあ今年、村田にそういう状況があるのかといえば、それはない。村田だって勝負しようと思って、まだ岡本には渡さないと自主トレをやっている。村田も契約を今年まで持っていますし、必死になってやってくると思う。そこは競争だろ、というのが僕らの考えだし、現場にも伝えています。そもそもそんな余裕はないでしょう!」
――それぐらい戦力的には厳しい……。
「ジョーンズとクルーズがそこそこ働いてくれれば勝負になると思います。どちらかが欠けてレスリー(アンダーソン外野手)頼りになると、去年と変わらなくなる。その意味では今年の2人の外国人選手は、今年と来年を何とか凌ぐ、そのための選手なので……」
――外国人選手で何とかごまかして……。
「凌ぎ勝つ。で、今年は三軍を作りましたけど、去年の6月から取りかかって、独立リーグ中心に獲っている。独立リーグも最近は質がかなり上がってきているので、期待値のある選手は増田(大輝内野手、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスから育成ドラフト1位入団)とかいます。ただ、このオフのドラフトに関しては三軍の人選というのも考えないといけないと思っています。(三軍の監督やコーチには)そこに心血を注いで、1年に1人でいいから一軍の戦力になる選手を育てて欲しい」
批判が出ても、獲りにいく選手は獲りにいく!
――育成の巨人と言われましたが、反動でFA等にお金を使わなくなったのではないか。ソフトバンクと補強で戦えますか?
「戦い方は色々あるんじゃないですか。お金だけで戦うんだと、色々言われているのが本当なのかもしれませんけど、どれだけ早く見定めをして、どういうアプローチをするかということですよね」
――競り勝ったのは大竹(寛投手、広島からFA宣言してソフトバンクと争奪戦の末に獲得した)ぐらいで、バンデンハーク投手も松坂大輔投手も獲得に動きながら敗れた。昔の巨人は獲ると思った選手は獲ってきたけど、いまはソフトバンクに獲られる。例えばいま形の上では宙ぶらりんの李大浩内野手をさらうぐらいのことをやるのが昔の巨人だった。批判も出るかもしれないが、そういうことが巨人の象徴でもあったのではないですか?
「時と場合によりますね。いま李大浩選手と言われましたけど、いまからいくのかといえば現実的に難しい。ただ先々にあのクラス、過去にも李承ヨプ(火へんに華)内野手を獲りにいったこともあったし、それなりの選手がいて、獲得すれば優勝の大きな戦力になるなら、真っ向から勝負して獲りにいかなければならない。それはやりますよ!」