錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
全豪で錦織圭の敵は年上か、年下か。
「若手ではない」立ち位置はタフだ!
posted2016/01/17 10:40
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
開幕戦のブリスベンでベスト8に終わった錦織圭は、今週はクーヨン・テニスクラブで行なわれる恒例のエキシビション大会に急きょ1試合のみ出場し、それをもって全豪オープン前の実戦をすべて終えた。
30年近い歴史を持つこのクーヨンでのイベントは、エキシビションはいえ最終的にチャンピオンを決める大会フォーマットにもなっている。錦織も一昨年に優勝した経験があるが、大会途中に出場者が頻繁に入れ替わるような気楽な非公式戦だ。翌週に全豪開幕を控えていることもあって、特にトッププレーヤーにとっては、優勝することよりも無理なくリラックスムードで調整を行なえるところにメリットがある。
オーストラリアのパースで1月初めに行なわれる男女ペアでの国別対抗戦も、伝統あるエキシビションイベントで、ここを肩ならしの場所に選ぶトップ選手も少なくない。シーズン最初のグランドスラムに向けて、トップ選手たちはゆったりとしたペースで調整することを好むようだ。
しかしそんな中でも、ドーハ、ブリスベン、チェンナイの3カ所で行なわれたツアー開幕戦は、結果を出すべき人が出したという印象だった。それは、今季の勢力争いの激化を予感させるものであり、錦織にとってはチャレンジングな年を覚悟させるものだったといっていい。
トップ陣が順調に勝ち進むが、世代交代の足音も。
ドーハはノバク・ジョコビッチとラファエル・ナダルという手堅い新旧王者対決で沸き、チェンナイでは一昨年の全豪と昨年の全仏を制したスタン・ワウリンカに19歳のボルナ・チョリッチが挑み、そして錦織が準々決勝で敗れたブリスベンでは、25歳のミロシュ・ラオニッチが2年連続してロジャー・フェデラーと激突した。
つまり、トップが崩れる気配もなく、昨年伸び悩んだ錦織世代もこのままでは終わらず、さらに若い世代も期待通りの躍進を見せるという〈全世代総活躍〉的な展開となった。
ドーハとチェンナイの決勝結果は大方の予想通りだったのに対して、ブリスベンでは昨年ケガで不振だったラオニッチが勝った。
今さら言うまでもないが、ラオニッチは錦織の同世代ライバルとしてメディアにも煽られてきた選手で、1つ違いの2人は昨年末にATP選出の〈ベストライバル〉にも選ばれている。錦織よりも先にトップ10入りした25歳は、昨年は故障が多発し不振に陥ったが、フェデラーからの4対戦ぶり2度目の勝利で光明が差している。