どんなに実力があっても、ケガで1年が台無しに。

　一昨年は錦織とともにツアーファイナル初出場を果たしたマリン・チリッチとラオニッチが、昨年出場を逃したのもケガに起因する。

　全仏オープンで錦織を破り、マスターズシリーズでも昨年の錦織の成績を上回る準優勝も果たしたツォンガが、年末ランキングは10位でツアーファイナルの出場枠に届かなかったのも、ケガでシーズンを出遅れたためだ。

「オフにはいいトレーニングができたし、全豪に向けていい準備ができている」と錦織が今感じることができているのも、実は決して簡単なことではない。

まずはベテランとの戦いを控える錦織。

　さて、いよいよ全豪オープンの会場ではドロー抽選が行なわれた。期待の若手がトップに挑戦するという興味深い組み合わせになっている。

　ディフェンディング・チャンピオンで第1シードのジョコビッチの相手は、世界ランクを自己最高の51位に上げている19歳の韓国選手チャン・ヒョン。昨年を含めて全豪で準優勝4回のマレーは、トップ100の中で最年少の18歳、ドイツのアレクサンダー・ズベレフとの初対戦に臨む。

　そして肝心の錦織の1回戦はというと、それとは対照的に32歳のフィリップ・コールシュライバー。

　同じ山にいる8人のうち予選通過者2人の名前はまだ入っていないが、30代が4人いる。それもまた、衰え知らずの30代が元気に泳ぎ続ける現在のツアーの特徴を表している。錦織は当面、恐れ知らずの若者の爆発的なパワーより、しぶとくワザあるベテランとの戦い方を練っていかなければならない。

　順当なら4回戦でツォンガ、準々決勝でジョコビッチが待っている。