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ホークスのドラ5ルーキーは大物か。
黒瀬健太「プロ野球選手は天職」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/01/13 10:50
対戦したい投手に大谷翔平を挙げる黒瀬。入団交渉はラーメン店ではなくちゃんこ鍋店で行なわれた。
「僕、いつも笑っていると言われます」
「プロに入団出来たことが光栄です。入ってしまえば、順位は関係ないと思っています」
悔しさもあるのかという、ちょっとイジワルな質問をしたが、黒瀬はムッとすることもなく、逆に笑顔を浮かべて答えを返す。
「僕、いつも笑っていると言われます。意識しているつもりはありませんが、自然と笑顔が出ちゃうんですよ」
先述の球団資料の自己PR欄にも「性格は明るく、素直で負けず嫌い」が、「高校通算97本塁打」よりも先に書かれている。
「高校では4番、キャッチャーでキャプテンをやらせてもらっていた。僕が暗い顔をしていたらチーム全体に影響するじゃないですか。練習でもしんどい時に、そんな表情をしていたら余計にきつくなる。笑っていれば気持ちは少しラクになる。それにボクは野球が大好きですから。プロ野球選手は天職です」
表情を輝かせる。初対面でも人見知りをしない。たくさんの記者に囲まれて喋るのはまだ慣れず初々しくもあるが、一生懸命話をしようとするのが分かり好感が持てる。まだ直接取材するようになって間もないが、“いいヤツ”であることは間違いなさそうだ。
ホークスだからこそ、じっくり育てられる。
「目標は球界を代表するホームランバッターになることです。一発もあるけど、打率も残せる打者になりたいです」
長距離砲の育成には時間を要することが多い。現在の球界を代表する右のスラッガーである中村剛也(ライオンズ、高校通算83発)や中田翔(ファイターズ、高校通算87発)も、プロ1年目は1軍出場がなかった。プロ初本塁打も両選手とも3年目のことだ。
ホークスとしても日本シリーズ連覇中で戦力充実期にあり、高卒新人はじっくりと育てていく方針をとっている。また、三軍制のため故障さえしなければ一定の出場機会が得られるのは、成長を促進するのに大いに役立つことになる。
博多のスラッガーとなり、ホームランの「おかわり君」ならぬ「替え玉君」(!?)といつか呼ばれるその日を、焦らずじっくりと待ちたい。