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ホークスのドラ5ルーキーは大物か。
黒瀬健太「プロ野球選手は天職」
posted2016/01/13 10:50
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
楽しみな新人がホークスにやってきた。
高校通算97本塁打。いかにもスラッガー然とした立派な体格は、12月の入団発表時に球団から配られた資料によれば身長181cm、体重は100kgにもなる。
ドラフト5位ルーキー、黒瀬健太(和歌山・初芝橋本)だ。
破格の実績だ。超高校級である。ホークスの新人の中で1位入団の高橋純平の評価が飛び抜けているのは納得だが、これほどの選手がよく下位まで残っていたな、というのが率直な感想だ。
高校通算本塁打。分かりやすい数字ではあるが、一方では曖昧な指標でしかない。グラウンド環境や対戦相手のレベルによりけりだし、ましてや自己申告に過ぎない。だから、それが選手の実力とイコールの数値とは言い切れない。
黒瀬は甲子園経験がないため、全国区でその打撃力を計る機会が少なかったのが評価を難しくした。だが2年生の秋、紀三井寺球場で左翼席後方にある高い防球ネットを越える一発を放った。通称「中田ネット」。中田翔が大阪桐蔭2年生の時に推定170m場外弾を放ったのを機に設置されたことに由来する。この衝撃アーチがプロスカウト陣を唸らせ、熱視線を浴びるきっかけを与えた。その後の練習試合では5打数5本塁打の快記録をマークしたこともある。
一番の魅力はフルスイング。
ホークスの永山勝チーフスカウトは「彼の打撃はイ・デホを連想させる」と評価し、こう解説する。
「バッティングに柔らかさがある点が似ています。ただ、一番の魅力はフルスイング。高校生は金属バットなので当てにいこうとする選手も多いですが、彼はしっかりと振りきることが出来ていました」
そのうえで、下位指名まで残った理由として「彼は捕手を務めていましたが、3年の春に右肩を痛めてしまい、しばらくのあいだ満足なスローイングができなかった」という点を挙げた。
強打の捕手はどの球団もヨダレが出るほど欲しい逸材だ。だが、守備面で評価を下げてしまったことがネックとなった。ホークスは内野手として指名。三塁手もしくは一塁手として育てていく方針だという。