モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
全速力の予選と、燃費込みの決勝。
一発の速さに劣るロッシが勝つ理由。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2015/09/05 10:30
マルケス(左)の独走かと思われた今季だが、現在ポイントトップに立つのは復活したロッシ(右)。このライバル関係はしばらく続きそうだ。
全盛期の強さはない、しかしロッシは勝つ。
構図としては、スピードに勝るマルケスとロレンソと、一発の速さでは劣るが安定したスピードでミスなく走るロッシとの戦い、となる。
しかし、苦手とする高速サーキットのシルバーストーンでは、さすがにロッシもデータ上から厳しい戦いを予想していた。
それが今季初の雨のレースとなりすべてがリセットされた結果、ロッシの経験と速さとヤマハYZR-M1の仕上がりの良さの前にマルケスは転倒し、ロレンソは最大の敵となる雨の中でふがいないレースをした。
それにしても、今年のロッシの粘り強さ、しぶとさには脱帽させられる。
全盛時代のロッシは、シーズン前半で大きな貯金を築き、後半は着実にマジックを削り、タイトルが決まってから、再び勝ち星を稼ぐというのがひとつのパターンだった。
ライダーとしてピークを過ぎた現在は、そこまで大きなアドバンテージを築くことは出来ないが、マルケスとロレンソが表彰台に立てないレースでしっかり優勝しているところに、今年の強さを感じさせる。
次戦はロッシにとって正真正銘の“ホームGP”。
シーズンは残り6戦。チャンピオン争いは、ロッシと12点差で追うロレンソとのチームメート同士の戦いになってきた。
次戦サンマリノGP(イタリア・ミサノ)は、ロッシが生まれ育ったタブーリアから10kmという距離にあって正真正銘のホームGPとなる。昨年は地元ファンの声援を受けて優勝している。
どうやら、いい風はロッシに吹いているようだ。
今年のサンマリノGPは、とんでもない盛り上がりになることは間違いない。