モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
全速力の予選と、燃費込みの決勝。
一発の速さに劣るロッシが勝つ理由。
posted2015/09/05 10:30
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
シルバーストーンで行なわれた第12戦イギリスGPは、今季初のウェットレースとなり、予選4番手から決勝に挑んだロッシが優勝した。
終日、雨が降ったりやんだりの不安定な天候。
ダミーグリッドについたときはドライコンディションで、そのため全車スリックタイヤを装着していた。
しかし、ウォームアップ開始と同時に雨になったことで、赤旗中断。
全車レインタイヤに交換してスタートはやり直しとなったのだが、ウェットコンディションの中で行なわれた朝のウォームアップでトップタイムをマークしていたロッシがその走りを見事に再現し、4戦ぶりの今季4勝目を挙げた。
ロッシはチャンピオン争いをするライバルがひとりもいないパルクフェルメの光景を見渡しながら、満面の笑みで大荒れのレースを振り返った。
「マルクが転倒したのをスクリーンで見て、少しスローダウンした。後ろのグループにアドバンテージがあったからね。でも、後ろでダニーロがいいペースで走っていたからリラックスはできなかった。とにかく、ダニーロがあまりリスクを犯さないことを願っていた。なんたって彼にとっては初めての表彰台だからね。
最後は雨が激しくなり、コンディションも難しくなってきた。ミスはおかしたくなかったし、スムーズに走ることを心がけた。マシンはとても良かったし、とても楽しかった。とにかく、最後まで頑張ったよ」
過去2年、優勝争いに加われなかったロッシ。
ロッシにとっては、まさに恵みの雨だった。
金曜日、土曜日のフリー走行と予選では、一発のタイムでも連続周回のアベレージでも、前戦チェコGPで今季5勝目を挙げてロッシと同ポイントで首位に立ったロレンソと、52点差も追い上げムードのマルケスに遅れをとっていた。
過去2年、このコースで熾烈な優勝争いをくりひろげてきたライバルの2人は、今年も予想通りに速かった。
その2年間、ロッシは2人のライバルたちの優勝争いに加わることも出来ず、4位と3位でチェッカーを受けていた。