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“浦和育ち”山田直輝の大きな転機。
湘南で思い出した、輝くための原点。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/08/19 10:40
将来を嘱望された山田直輝も気づけば25歳になった。しかし彼が、浦和に、そして代表に復帰することを諦めているはずはない。
「もっとブーイングされるようなプレーをしたかった」
そして迎えた、「いつ対戦しても、浦和は僕にとって特別」という古巣相手のアウェーゲーム。ベンチスタートの山田に出番が訪れたのは、1点ビハインドの76分だった。ウォーミングアップエリアからベンチに呼び寄せられると、曹監督に抱擁され、激励されてピッチに飛び出した。
スタンドからは、ちょっとしたブーイングが起こった。「ピッチに入るときのブーイングは聞こえましたけど、もっとブーイングされるようなプレーをしたかったですね」。浦和サポーターのブーイングは、実力を認めている相手選手だからこそ起こるものだと知り尽くしているからこそ、山田はそう語った。
ピッチに入ると、左のシャドーでありながら、ポジションにこだわることなく逆サイドにも顔を出す山田らしいプレーで駆け回った。特に、ボールを離した後に止まらない最大の長所は健在だった。
パスを出せば必ず次のスペースに走り込む。その動きが、相手を動かして守備ブロックに穴を作ることを呼ぶ。そのスタイルは、湘南にあっても変わらない。1点のリードを守りに入る浦和の守備に簡単にはチャンスを作らせてもらえなかったが、終了間際に立て続けにゴールチャンスを作った。
終了間際に放ったミドルはブロックされ……。
アディショナルタイム、前線でキープした藤田祥史を素早くサポートすると、落としたボールを山田がダイレクトで菊地俊介に通そうとした。しかし、わずかにパスがズレてしまった。その1分後、味方とのパス交換でフリーになると、山田は左45度の位置からミドルシュートを狙う。しかし、那須大亮と森脇良太の2枚の壁に当たり、ボールはゴールからのコースを外れていった。
「打った後も良いところにいったと思ったんですけど、誰だか分からなかったですけどブロックされて。その前もラストパスでミスをしてしまったので、決定的な仕事をできるチャンスが2回ありました。そこで結果を出せなかったのが次の課題だし、満足はできないです。課題をクリアしたい」
そうやって悔しそうな表情で語った一方で、手応えを得られた面もあったと語る。