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“浦和育ち”山田直輝の大きな転機。
湘南で思い出した、輝くための原点。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/08/19 10:40
将来を嘱望された山田直輝も気づけば25歳になった。しかし彼が、浦和に、そして代表に復帰することを諦めているはずはない。
「レッズも成長していて、僕も成長している」
「レッズが強いのは分かっていたけど、湘南も自分たちのスタイルを前面にぶつけて勝つことだけを考えていました。今年は2敗したけど、湘南は止まることなく成長できるチーム。ここをステップにして上に行けるようにやっていきたい」
そして、去年までは同じピッチで練習し、何度となく紅白戦を繰り返していた相手との対戦だった。彼にとって、浦和を離れた半年で感じられるものがあったのだろうかと、問いかけてみた。
「練習と公式戦は違うので比較は難しいです。レッズも成長していて、僕もベルマーレで成長している。僕もチームもレッズを追い抜けるようにやりたいと思っています。今日の試合も課題ばかりが見つかったのではなく、チームとしても90分間スタイルを崩さずに得点を狙いにいきました。下を向く敗戦ではないです」
山田は、湘南で絶対的なレギュラーを獲得しているとは言い難い。スタメン起用をされることもあるが、途中出場の方が多い。決して、その現在位置は満足できるものではない。
それでも山田のプレーからは、ハツラツとしたものを感じられた。
サッカーを楽しむことこそ、山田直輝が輝く要素。
背番号8は、浦和ユースで躍動していたとき以来のもの。「僕の調子がいいときは、楽しそうにプレーしているときなんですよ。試合に出て、ボールに触れることを楽しめれば、自分の良さを出せていることになる。その気持ちを思い出せるようにしたい」と、番号が決まった後に語っていた。
浦和時代も筆者が「楽しそうに見えた」と声を掛けると、「じゃあ調子が上がってきたってことですね」と応えてくれたことが何度もある。山田にとって、プレー中の表情やサッカーを楽しむ姿は、パフォーマンスに直結する要素であり、原点なのだ。
山田は「埼スタの雰囲気は、相変わらず良かったですね」と、悔しさもひと段落して懐かしむような笑顔を見せた。来シーズン以降、山田がどのチームのユニフォームを着てプレーしているかは分からない。それでも、サッカー少年がそのまま大きくなったような笑顔と楽しそうなプレーが増えれば増えるほど、プレーのクオリティーは上がっていくはずだ。とにかく、サッカーを楽しむこと。
それが、18歳にして日本代表デビューを果たした男のサッカー人生を、再び最高のステージへと導いてくれるはずだ。