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チェルシーが抜け、リバプール脱落。
プレミア「2位争い」が珍しく熱い! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/04/11 11:00

チェルシーが抜け、リバプール脱落。プレミア「2位争い」が珍しく熱い!<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

2位の座を争うマンCのペジェグリーニとアーセナルのベンゲル。どちらにとっても、ポストがかかった終盤戦になりそうだ。

ベンゲルは失った信頼を取り戻すために。

「出来る限り上位で」というコメントが、「何としてでもマンUとマンCよりも上の順位で」と報じられたのは、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督だ。2004年を最後にリーグ優勝から遠ざかっているチームの指揮官には、ほぼトップ4圏外に終始した今季前半戦で限界説が高まった。“ベンゲル・ファン”が揃うフロント陣による解雇という非礼はないにしても、自身の擁護派と反対派によるサポーター内の衝突が激化する一方の現状に責任を覚え、ベンゲル自ら身を引くのではないかと筆者も思っていた。

 ベンゲルに対する主な批判に、「4位で満足している」というものがある。現在はチームが調子と順位を上げて4月を迎え、当人の気持ちは続投で固まっていると言われるが、ファンの揺るぎない支援を取り戻すには、来季こそは本格的に優勝を狙えるという実感を周囲に与える必要がある。同じ4位以内でも、10年ぶりとなる2位で今季を終え、残り2年間の任期全うへのプレリュードとしたいところだ。

ファンハールはシティを上回るために。

 マンUのルイス・ファンハール監督は、3月上旬の段階で「マンCよりも上の2位を狙う」と口にしていた。プライドの高さは監督界でも随一のファンハールらしい発言だ。ロングボールが増えたスタイルがファンの間で不評を買い、FAカップ準々決勝でアーセナルに敗れてタイトル獲得の可能性も事実上消滅した直後の“ファイティング・トーク”ではあったのだが。

 ただチームとしては、4位でも上出来のはずだ。なにせ、昨季は王者マンCに22ポイントも差をつけられた7位だったのだから。マンチェスター市内の力関係は、伝統的なマンU優勢から完全にシフトしたとも言われ、今季開幕前の筆者は、マンUに2年連続のトップ4漏れを予想していた。

 トップ4争いを演じてはいても、のらりくらりとポイントを重ねるチームの指揮官は、昨夏の就任当初にはこぞって「名将」と迎えられたはずが、いつしか「幸運」がメディアでの代名詞になった。ファンハールは、トップ2の予言を現実にして改めて実力を示したいことだろう。

 逆に2位の座がマンCの物となれば、1977年~78以来となる2年連続の「市内下位」に終わったシーズンの監督として、不名誉な形でマンU史に名を刻んでしまう。

【次ページ】 そしてペジェグリーニは解任を回避するために。

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