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ドルトムントの絶不調を徹底解剖!
全ては財政状況の改善から始まった。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/03/27 10:40
復調の気配を見せている香川真司だが、チームを覆う空気は決して好転したわけではない。ELを逃せば戦力の大整理も必要になるだけに、なんとしてもそれは避けたい状況だが……。
移籍金に見合う活躍を見せている選手はわずか。
この中でオーバメヤンとソクラティスは移籍金に見合う働きを見せているが、他の選手はそうとは言いがたい。
ヨイッチは、昨シーズンは1月の加入ながら4ゴールを決めていたが、今シーズンはリーグ戦出場がわずか9試合で、スタメンに名を連ねたのは怪我人が多かった8月から9月にかけての5試合しかない。
またムヒタリアンの移籍金に関しても、先日もビルト紙が「完全に狂った価格だ」と断罪したように、金額に見合うような活躍は全く見せていない。ゲッツェの後釜を探すのは簡単ではないが、彼の代わりになる選手を探すのに焦ったあまり、交渉先となったシャフタール・ドネツクに足元を見られた感はいなめない。
今季が始まる前に費やした6130万ユーロ。
同様に今季に臨むにあたり、ドルトムントが移籍金を支払って獲得した選手は以下の面々だ。
FWインモービレ 1940万ユーロ
MFギンター 1000万ユーロ
FWラモス 970万ユーロ
MFサヒン 700万ユーロ(一昨シーズンから加入していたが、当時はレンタル移籍の扱いで今季開幕前にレアル・マドリーに完全移籍のための移籍金を支払った)
さらに開幕後に以下の2選手も獲得した。
MFカンプル 1200万ユーロ('15年1月の加入)
MF香川真司 800万ユーロ
大量補強の結果、このシーズンの移籍金の収支は6130万ユーロという巨額のマイナスになっているのだ。
現在インモービレやラモスはすでにサブ要員となり、1トップを務めているのはオーバメヤンである。そもそも、FWの2人ともドルトムントの現在のスタイルに合っているとは言い難い。しかもオーバメヤン自身は、自らのスピードが活かせるという理由で、右MFのほうがプレーしやすいと話している。
また、ギンターはセンターバックとして出場したマインツ戦やCLのアーセナル戦では、結果が出せなかっただけではなく、ともに敗戦の原因として批判されている。現在はベンチ入りメンバーから外れることも多く、起用されるのはもっぱら試合終盤の守備固めと時間稼ぎのためにボランチに入るときくらいだ。