バルサの変化とともに、2強の対称性が消滅した。

　カウンターのマドリー対ポゼッションのバルサ。

　それが少し前までの2強のイメージだった。ロナウド、ディマリア、ベイルらのスピードを活かすマドリーに、シャビ、メッシ、イニエスタ、ブスケッツらがパスを回しながら組み立てていくバルサ。

　近年のクラシコの面白みとは、その対称性にあった。

　しかしそれはバルサの変化と共に消え去った。

　マスチェラーノが証言するように、バルサは今、ポゼッションだけではない、総合的なチームに変わろうとしている。

　この試合の先制点を生んだのは、マスチェラーノも指摘するセットプレーだ。

セットプレーに弱いはずのバルサがFKから得点。

　バルサはセットプレーに弱い。そんなイメージを払拭するFKからのマテューの得点だった。

　その後、マドリーが得点を狙いに前に出てくると、ネイマールとメッシのドリブルを中心に縦に速い攻めを繰り返した。

　バルサのトリデンテの中で最も目立ったのがスアレスだ。

　裏を狙うことのできるスアレスの存在が、横に揺さぶるサッカーだったバルサに、縦の深さを与え、バルサをよりダイレクトなチームにしている。

「どうにかペペとセルヒオ・ラモスの間のスペースを利用しようと、ずっと考えていた。できる限りのスピードで彼らの間に突っ込んでいくことだ。それが効いたと思う」とスアレスは振り返る。

　試合前から頭に描いていた通り、彼はCBの狭間を完璧なタイミングで突いた。ダニ・アウベスからのロングボールを綺麗なトラップで収め、ペペの足の間を抜く決勝点を決めている。

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