スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
コントにまでなった「買い物下手」。
バルサの補強が軒並み失敗!
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2014/12/31 10:50
カンプノウのスタンドで、どこか所在なげな表情をうかべるスビサレッタSD。
取り逃した大魚はライバルクラブで活躍中。
選手補強に外れは付きものである。ただここまで明らかな判断ミスや怪しい業者との関わりが表沙汰になっては、批判が高まるのも無理はない。
しかもその傍らでは、2度の売り込みを無視したクロースが移籍先のライバルクラブで大活躍中。そして追い打ちをかけるように、2011年にはティボウ・クルトワとラファエル・バランがそれぞれチェルシー、レアル・マドリーと契約する前に安価で獲得するチャンスをスビサレッタがみすみす逃していた事実なども掘り返されはじめた。
冒頭のコントは、そんな矢先に放送されたものだったのだ。
そして今、スビサレッタはマルティン・モントーヤの処遇で揉めている。今季初めて先発起用した3節アスレティック・ビルバオ戦を最後に、ルイス・エンリケはモントーヤを全く起用しなくなった。ダニエウ・アウベスとの契約は今季までで、ドウグラスは戦力として計算が立っていない現状、今最も使っておくべき右サイドバックに対する原因不明の冷遇は、バルサにおける今季最大のミステリーとなっている。
ベンチ入りすらままならない状況が2カ月以上も続いた末、モントーヤは控え組中心で戦った3部ウエスカとのコパデルレイですら出番が与えられなかった12月頭の時点で、クラブに1月の移籍を直訴した。これに対し、スビサレッタは2000万ユーロの違約金を払わない限り放出する意志はないと回答したのだが、今の状態で残れというのはあまりにも理不尽だ。
フロントと現場の意思疎通は大丈夫か?
クラブは残れと言うが、監督には使う意思がない。これではフロントと現場の意思疎通は大丈夫なのかと疑いたくもなる。
その後アウベスの負傷もあり、ルイス・エンリケは年内最後の2試合でようやく彼にプレーの機会を与えたのだが、今頃ちょっと出番を与えたくらいで本人の意思が変わるとは思えない。しかも彼の元には国内外のビッグクラブから好条件のオファーが届いているのだから、引き止めるのは難しいだろう。
このような状況下、オフには今季からスタッフ入りしたプジョルを強化部の顔とし、セビージャの敏腕SDモンチをテクニカル・セクレタリーとして迎えるのではないか、なんて噂も出てきている。恐らくそれは噂というより記者たちの願望なのだろうが、いずれにせよクラブ内外でスビサレッタの肩身が狭くなっていることは確かなようだ。