スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
コントにまでなった「買い物下手」。
バルサの補強が軒並み失敗!
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2014/12/31 10:50
カンプノウのスタンドで、どこか所在なげな表情をうかべるスビサレッタSD。
「10点満点のチーム」と胸を張った移籍期限終了日。
2014年夏、スビサレッタはバルサのSDに就任して以降、最も多忙なオフを過ごした。ヘラルド・マルティーノの後任監督、引退したカルレス・プジョル、揃って退団した3人のGKの代役確保といった急務に加え、FIFAから1年間の補強禁止処分を受けることを見越し、来季まで見据えたチーム強化を急ぎ足で行なう必要があったからだ。
ルイス・スアレスやイバン・ラキティッチの獲得からセスク・ファブレガス、アレクシス・サンチェスらの売却まで、まとめたオペレーションは全部で24。収支のバランスは7845万ユーロの赤字となったが、スポーツ部門の最高責任者であるジョルディ・メストレ副会長は、移籍期限の終了日に「約束通り、大幅な刷新を実現できた。10点満点のチームだ」と質、量共に充実した陣容に胸を張っていた。
ベルメーレン、ドウグラスと新戦力は散々。
ところが、実際はどうだ。
スビサレッタが「即戦力」と太鼓判を打って獲得したトーマス・ベルメーレンは、契約前から抱えていたケガがいつまで経っても治らず、11月末になって手術に踏み切ることが決定。その結果、少なくともさらに4カ月の離脱が確定し、デビューせぬまま1年目のシーズンを終えることが濃厚となった。
また8月末に急遽獲得したブラジル人サイドバックのドウグラス・ペレイラは、これまで得た僅か3試合の出場機会に何の印象も残していない。そのためまだどんな選手なのかも分かっていないのだが、既にファンからもメディアからも「バルサでプレーできるレベルにない」と結論付けられてしまっている。
その後ベルメーレンについては、契約前のメディカルチェックにて手術の必要性があると判断されながら、ドクターの警告を無視して獲得を決めていたことが発覚した。
ドウグラスについては、過去にバルサでは1試合もプレーせぬままレンタル移籍を繰り返し、最後は契約解除に至ったケイリソン、エンリケと同じトラフィック社が40%の保有権を持っている“いわく”付きの選手であるため、「2012年からチェックしてきたアウベスの後継者候補」なんて説明は誰も信じていない。