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輝きを失った香川真司、葛藤を語る。
「前のイメージを忘れる必要がある」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/12/10 12:30
ドルトムントにブンデスリーガ優勝をもたらした香川真司の復活は、彼を歓迎したファンたちへの恩返しでもある。
香川「昔のイメージは忘れる必要がある」
大事なものを引き出しからソッと取り出すように、香川は胸の奥にあるものを静かに明かした。
「ドルトムントに来る前から分かっていたことですけど、どうしても昔(の自分)と比較されますし。自分の中でも、昔のイメージが残ってる部分は少なからずある。でも……それはいい意味で忘れる必要がある。葛藤があるのは事実ですけど」
――では、これから作り出そうとしている新たな選手像とはどういうものなのか。
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その質問に、香川はこんな風に語り始めた。
「どうですかね……。なかなか結果が出てない中で、こうやって言うのは難しいことですけど。ただ色々経験した中で改めて考えると、(ドルトムントでの)1、2年目は全てが上手くいっていたとは感じます。自分もそのリズムに乗っていたのは確か。もちろん努力した結果だとも思いますけど。(当時は)チームとしても勢いを感じました。今のこういう厳しい状況の中で、どこまで自分が……。
結果が出ない中で……まぁマンチェスターでもそうでしたけど、結果を残せる状況に持っていくには、どうやったらいいのか、っていうのを日々やっぱり考えますし。
メンタルの波があったりして本当に厳しい状況ですけど、これを乗り越えて自分たちがサッカーを確立したり、個人的にも結果が出だした時には、改めて成長したと言えるんじゃないかなと思うので……」
「こんな厳しい状況は、ちょっと想像していなかった」
少し間をおき、考えながらこう続けた。
「もちろん、こんなに厳しい状況になるとはちょっと想像していなかった。ただ、それはホントに試されているものですし。ここで投げ出したら、僕は下まで落ちる一方やと思っているんで。ここで、しっかりと結果を残していけるように頑張りたいです」
道は険しい。
「簡単に結果が出る世界ではないですし。1試合良ければいいというわけではない。今の自分に言えることは、毎試合全力で戦った中で、結果を残していく作業をするだけ」
でも、課題はわかっている。
「ミスをしても、ミスをしても、前に進む力、前を目指す力というのが何よりも自分にとっては大事ですから。そこを、折れずにやっていきたいと思います」