ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
輝きを失った香川真司、葛藤を語る。
「前のイメージを忘れる必要がある」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/12/10 12:30
ドルトムントにブンデスリーガ優勝をもたらした香川真司の復活は、彼を歓迎したファンたちへの恩返しでもある。
4日前、トップ下の定位置を奪われていた香川。
4日前の試合では、移籍後はじめてリーグ戦で出番がなかった。代わりにトップ下に入っていたギュンドガンは、決勝ゴールのみならず攻守で存在感を発揮した。『ビルト』紙の採点では、最高となる1点だった。
元々は中盤の攻撃的なポジションの選手だったが、これまでドルトムントではほとんどの試合で守備的なポジションで起用されてきた。トップ下のレギュラーの座を手にしていた香川としては、小さくない危機感があった。ゴールやアシストなどの結果を残し、なんとしてもチームの勝利に貢献しなければ、と。
試合前に抱いていたゴールへの想いについて、香川はこう語る。
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「やっぱりその気持ちはいつも以上に持って臨んだ試合でした。ただ前半からミスが続いてリズムが悪かったですし、そこから修正するのにも個人的にはすごく苦労したというか……」
移籍が噂されるロイスに代わる攻撃の核に。
香川はそう反省したが、自身の前半のパス成功率は80%で、このポジションとして悪い数字ではない。
20本のパスを出し、16本が味方につながっている。試合全体でも、成功率は82%を記録している。他の攻撃的なポジションの選手――インモービレの71%、グロスクロイツの82%、ムヒタリアンの75%と比べても、むしろ成功率は高いといえる。
ただミスの数は多くなくとも、その質には問題があった。前半の11分と39分、香川のパスミスから相手のカウンターが始まり、いずれもシュートにつなげられてしまったのだ。
チームの状態も良く、香川自身もコンスタントに結果を残している状況であれば、それほど気にするようなことでもないのかもしれないが、ドルトムントはリーグ戦では目下のところ残留争いに巻き込まれ、攻撃が機能しているとは言い難いのが現状だ。
攻撃の核となるロイスは負傷離脱中で、今シーズン終了後の移籍も噂されている(これまでバイエルンが移籍先の有力候補とされてきたが、『ビルト』紙の情報によれば、3週間前からスペイン語の家庭教師をつけて勉強を始めているという。また、彼はバルセロナが憧れのクラブと公言している)。そのため、ドルトムントは新たに攻撃をけん引する選手を必要としている。
その筆頭候補が香川なのだ。