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G大阪・長谷川健太監督の逆転戴冠!
ナビスコ決勝を好試合にした両監督。
posted2014/11/11 10:30
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
AFLO
2014年のナビスコカップ決勝戦は、国立競技場の改築のため埼玉スタジアム2002で行なわれた。
サンフレッチェ広島vs.ガンバ大阪。38126人の観衆の前で、両チームはカップ戦ファイナルらしい、激しいシーソーゲームを展開した。
広島のエース、佐藤寿人が前半20分のPKで先制点を奪い取ると、35分には絶妙なポジショニングでゴールポストからの跳ね返りを詰めて2ゴール目。中山雅史、ジュニーニョと並び首位タイだったナビスコカップの通算得点記録を「28」に更新するゴールを決めた。
するとその3分後、今度はガンバ大阪の遠藤保仁が流れた左サイドから、パトリックの頭に合わせる高精度のクロスを送り、追撃の一撃をアシスト。アギーレ体制下の日本代表で初となる招集を果たした貫禄を見せる。
広島の1点リードで迎えた後半、ガンバ大阪はさらなる猛攻に出る。54分にパトリックが同点弾を叩き込み、そして後半から途中出場した大森晃太郎のヘディングで逆転に成功。そのまま試合は終了し、G大阪がJ1復帰初年度でカップウィナーの称号を得た。
「元Jリーガー監督対決」はナビスコ決勝史上初だった。
両チームの選手がピッチ内でせめぎ合った90分間、テクニカルエリアでは2人の男が静かに火花を散らしていた。
広島の森保一、G大阪の長谷川健太の両指揮官である。
前述した佐藤や遠藤、そしてニューヒーロー賞を受賞した宇佐美貴史らにスポットが当たった戦いの中で、もう一つの注目ポイントとして挙げられていたのは、この2人だった。
Jリーグ開幕前の'92年に初開催されてから今年で22回目を数えるナビスコカップだが「決勝に出場する両チームの監督が日本人」だったのは数えるほどで、'07年の川崎(関塚隆監督)vs.G大阪(西野朗監督)と'09年のFC東京(城福浩監督)vs.川崎(関塚監督)くらいだった。
5年ぶりに実現した日本人監督対決。しかも今回は、過去にはなかったプラスアルファがあった。森保、長谷川両監督ともに元Jリーガーだったのは、史上初のケース。しかも「ドーハの悲劇」を経験した代表選手でもあったのだ。
しかし、2人の指揮官としてのキャラクターは対照的である。試合後の会見が、それぞれの人間性を象徴していた。