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G大阪・長谷川健太監督の逆転戴冠!
ナビスコ決勝を好試合にした両監督。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2014/11/11 10:30
ガンバ大阪の指揮官として、初のJ1タイトルを手にした長谷川健太監督。J2に降格したガンバに就任し、1年でJ1昇格を果たした手腕は、ナビスコカップでも発揮された。
U-20代表などのコーチを経て、J1連覇を果たした森保。
先に準優勝チームの監督として会見場に現れた森保は、神妙な表情で語り始めた。
「試合をひっくり返されて負けたことに関しては残念に思うのと、そういう時の戦い方を選手に伝えるのは自分の役目だと思います。選手の頑張りを勝利につなげさせることが出来なかった自分の力のなさを痛感しています」
そう謙虚に語った森保だが、元Jリーガーから転身した指揮官としての実績は群を抜いている。
'03年シーズン終了後にベガルタ仙台で引退し、森保は指導畑を歩み始めた。
古巣の広島で育成コーチを務めながら、世代別代表のコーチも兼任。広島での教え子である柏木陽介や槙野智章を始め、内田篤人や森重真人、香川真司らを擁した'07年のU-20W杯日本代表でも、吉田靖監督の下でコーチを務めた。
その後はミハイロ・ペトロヴィッチ監督の広島、黒崎久志監督のアルビレックス新潟とJクラブでコーチを歴任している。
そして'12年、ペトロヴィッチの後を継いで広島の監督に就任すると、新人監督ながらJ1リーグ戦制覇を達成。続く'13年もJリーグ連覇を成し遂げた。日本サッカーの土壌の中で叩き上げられた森保の指揮官としてのキャリアは、オフトジャパン時代、招集当時は無名ながらも、着実に実績を残し中盤の底で不可欠な存在となったそれと共通する。
謙虚な中でも感じさせる“芯の強さ”。
そんな森保の言葉からは、節々に実直さが感じられる。
この日来場者に配られたマッチデー・プログラムでのインタビューでも、同じドーハ組である長谷川監督の印象についてこう答えている。
「指導者の経験や実績も豊富な素晴らしい先輩です。戦術的な会話もざっくばらんにできるし、いいアドバイスも頂いています」
しかし、謙虚な姿勢と同時に“芯の強さ”も併せ持っているのが森保の指導者としての魅力だ。自らの未熟さを敗因に挙げた会見では、続きがあった。
「今日の試合に限っては敗者になりましたが、我々は決勝の舞台に勝ちあがってくるまでに、非常に苦しい戦いを総合力・団結力で勝ち抜いてきました。この舞台に来られたこと、選手の頑張りを誇りに思い、選手にねぎらいの言葉をかけたいと思います」
それは、率いるクラブの力を信じる、強い意志がこもった言葉だった。