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G大阪・長谷川健太監督の逆転戴冠!
ナビスコ決勝を好試合にした両監督。 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byAFLO

posted2014/11/11 10:30

G大阪・長谷川健太監督の逆転戴冠!ナビスコ決勝を好試合にした両監督。<Number Web> photograph by AFLO

ガンバ大阪の指揮官として、初のJ1タイトルを手にした長谷川健太監督。J2に降格したガンバに就任し、1年でJ1昇格を果たした手腕は、ナビスコカップでも発揮された。

「宇佐美も普段からあれくらい守備を……」

 一方で優勝監督となった長谷川の会見は、喜びを噛み締めつつ、場の空気を和ませるものだった。

「0-2になった時は“持ってねえな~、また岩下か~”と思ったんですよね(笑)」

 清水時代からの教え子、岩下敬輔が先制点のPKを献上し、2点目の失点にも絡んでしまった点を敢えて切り出したかと思えば、

「宇佐美(貴史)もパトリックも普段からあれくらい守備をしてくれたら楽なんですが、決勝だからあれくらいやってくれたのか、11月22日の浦和戦はどうなのかというのが今の悩みの種です」

 と、それぞれニューヒーロー賞、決勝戦のMVPに輝いた攻撃の軸にも、リーグ戦の天王山に向けて注文をつけた。

 とはいえ選手の話を聞くと、これらの言葉は選手への愛情があるからこそと感じた。

 岩下自身、MIXゾーンでこのように話していた。

「ミスをしても監督は使い続けてくれて感謝しています。試合後には『ちゃんとやれよ!』と言われたんですが『でも気持ちを切り替えて、良くプレーしてくれた』と言ってくれましたから」

指揮官としての初タイトルへ、長谷川が下した決断。

 長谷川は'99年に現役引退後、解説者の仕事をこなしつつ浜松大サッカー部の監督を務めた。'05年から6シーズンにわたって古巣・清水で指揮官を務めた際には、若き日の岡崎慎司、岩下らを抜擢している。就任初年度こそ残留争いに巻き込まれたものの、その後は4位、4位、5位、7位、6位と世代交代を図りながら安定した成績を残した。

 そんな長谷川に足りなかったものが、タイトルだった。上位に顔を出しながらも最終的には及ばないリーグ戦、2度の天皇杯準優勝、そして'08年のナビスコ決勝でもシャムスカ監督率いる大分トリニータに敗れるなど、あと一歩届かないケースが続いていた。

 だからこそこの日は、指揮官として初めてのJ1タイトルを掴むために、早めの決断を下した。

 1点ビハインドで迎えたハーフタイム、ダイヤモンド型の中盤でアンカーを務めていた明神智和に代えて大森を投入する。「遠藤がボランチに入ることで前線への供給は多くなると思いました」と指揮官が狙いを語った通り、今野と遠藤のダブルボランチを中心に試合を掌握。投入された大森も決勝ゴールという最高の形で起用に応えたのだった。

【次ページ】 長谷川、森保の2人に共通したチームへの信頼感。

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