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<独占公開、W杯の真実> 矢野大輔・ザックジャパン通訳日記 ~コートジボワール戦の敗戦を受けて~
text by
矢野大輔Daisuke Yano
photograph byHirofumi Kamaya
posted2014/10/16 11:30
移動中、監督は物思いにふけっているようだった。
<2014年6月15日(日)>
チームはコートジボワールに敗れたショックと疲れを抱えている。移動の合間、横目に監督を見る。物思いに耽っている。
16時30分からトレーニング。グラウンドに向かう道中、圭佑と一緒になる。大事な初戦を落としてしまったその心境を聞くと、圭佑が答えた。
「俺はなんか大丈夫なんだよね。W杯なんだし、そんな簡単にいくわけない。このタイミングで初戦取れなくて、また神様が大きな試練を与えてくれたと思うし、このチームの皆で決勝トーナメントに駒を進めて喜んでる姿がイメージできるんだよね。ただ、ここからチームとしてどう立て直すかってのが大事で、全員で攻守をやらなければならない。昨日もこっちは人数揃ってるのにやられてるわけだから、それなら高いところで守らなきゃって思うしね。
ゴール? あれは俺の真骨頂みたいなもんやから。一発のチャンスで決める。皆で力合わせて決勝トーナメントを勝ち上がっていくイメージができてるね。だから逆にこうなってよかったと思ってる。この試練を乗り越えることができれば、さらにこのチームは強くなれるよ」
昨日から感じていたものに間違いはなかった。やっぱり圭佑は“まだ大丈夫だ”と心の底から信じている。頼もしい限り。そのPositivitá(ポジティブさ)がチームメートに伝播することを願う。
練習前、監督が選手全員をピッチに集めた。
残り3日という短い時間で、チームをどう立て直していくのか?
再びキャプテン長谷部を自室に呼び、対話を試みる監督。
そしてチームはナタールヘ移動、ギリシャ戦を迎えた……。
つづきは、雑誌「Number」863号でお読みください。
Number Books
19冊にのぼる大学ノートに綴られた1397日間の「通訳日記」。そこには、今まで明かされることのなかったザッケローニ監督の真意や選手たちとの対話が克明に記されていた。日本代表通訳就任からブラジルW杯後のザックジャパン解散まで、世界を驚かせるために挑んだ激闘の日々を完全公開。