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12球団にオススメの監督はこの人だ!
タイプ別、指揮官選びの原則とは。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/09/26 10:40
2012年のリーグ優勝以降、昨季こそ最下位に沈むものの、今季はリーグ3位に押し戻している日本ハム・栗山英樹監督。大谷翔平の二刀流も結果が出始めている中、「名監督」としての地位を保てるか。
栗山英樹、小川淳司、森脇浩司らの新勢力。
しかし'05~'14年までの10年間、選手として成功基準を満たしていないにもかかわらず指導者として手腕を発揮している人が出現している。'12年のパ・リーグ優勝監督、栗山英樹(日本ハム)がその代表格で、'11、'12年に連続してCS(クライマックスシリーズ)に進出した小川淳司(ヤクルト・通算412安打)がそれに続き、今年のCS進出が決まっている森脇浩司(オリックス)も現役時代は244安打しか記録していないので「名選手ではなかった名監督」の有資格者と言っていい。
また、コーチなどで実績を積んで指導者としてのステージを上げていく監督も最近増えている。今季の監督で考えてみよう。二軍監督やコーチからの昇格ではなく監督に就いた原辰徳、栗山英樹、星野仙一、伊原春樹、野村謙二郎、中畑清(原、伊原については今回の就任経緯)に対して、次の5人はコーチからの内部昇格組と言える。
秋山幸二(チーフコーチ→'09年ソフトバンク監督)
小川淳司(ヘッドコーチ→監督代行→'11年ヤクルト監督)
和田豊(打撃コーチ→'12年阪神監督)
森脇浩司(チーム野手兼内野守備・走塁コーチ→'13年オリックス監督)
伊東勤(韓国・斗山コーチ→'13年ロッテ監督)
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ちなみに、来季は西武が潮崎哲也(二軍監督)、ヤクルトが真中満(チーフ打撃コーチ)の監督就任が濃厚とされていて、楽天では大久保博元二軍監督の就任も噂されているので、内部昇格組がスター監督組を数で上回る可能性がある。フロント上層部の、名より実を取ろうとする変化が如実に見て取れる。
生え抜きを重用するセ、西武以外こだわらないパ。
次に「生え抜き」と「外様」という部分で比較してみよう。伝統的に生え抜きが多いのは巨人、阪神、中日、広島のセ・リーグ勢で、パ・リーグは西武以外、出自にこだわらない球団がほとんどである。
大胆な選手起用と采配でチームに革命をもたらした監督を思い返すと、プロ野球初期では三原脩(西鉄、大洋)、水原茂(東映)、西本幸雄(阪急、近鉄)、'80年以降でも広岡達朗(西武'82~'85年)、野村克也(ヤクルト'90~'98年)、星野仙一(阪神'02~'03)と外様が多い。
外様はスター性のある人がほとんどなので、前述したような「スター監督より下積み組のほうがいい」というロジックは成立しない。それでは、どのタイプがチームにとって本当に有益なのだろう。