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“山田哲人世代”とは呼ばせない!
オリックス・駿太、打撃覚醒の理由。
posted2014/09/24 10:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
“山田世代”
そう呼べるのかもしれない。
入団して4年目、22歳になるヤクルト・山田哲人の同世代の選手が熱い。ご存知の山田は、4月から6カ月連続の先頭打者本塁打という史上初の記録を更新中で、シーズン200安打さえ視野に入れる。日本ハムで1番を打つ西川遥輝も、チームの顔へと成長。千賀晃大(ソフトバンク)谷口雄也(日本ハム)江村直也(ロッテ)など……。今、売り出し中の若手有望株が揃う世代だ。
「同世代の活躍は刺激になりますね。山田と西川は、個人的にも仲がいいんで、自分もやらなきゃいけない気持ちになります。西川はリーグも一緒なんで、札幌でも、京セラで会った時も、よく話をするんです。同じ左打ちなので、アドバイスをもらったりもします」
そう語るのは、オリックスの若きスピードスター・駿太である。
甲子園期間の8月、一気に調子を上げた駿太。
今季はこれまで116試合に出場し、打率.291、5本塁打。シーズン当初こそ、「代走・守備固め」要員だったが、現在はその立ち位置から脱皮し、レギュラーの座をほぼ手中に収めている。
6月11日のDeNA戦で史上9人目となる代打の代打による満塁本塁打で今季の1号目を放つと、そこからさらに調子を上げ、8月には月間打率.325、4本塁打をマーク。もともと守備範囲の広さと肩の強さは、糸井嘉男や坂口智隆を追いやる程だったが、打棒までもが本物になってきた。
実は筆者も、駿太の打撃の成長ぶりには驚かされた口だ。
彼が調子を上げてきた8月は、夏の甲子園に掛かりきりで、プロ野球の取材が少しだけ疎かになっていた時期。帰京後にドラフト候補の取材に奔走してからプロ野球の取材に行くと、浦島太郎のごとく若手の変化に驚くのは例年のことなのだが、駿太の様変わりはちょっと想定外だった。