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「今のベストを出した上で負けた」
本田とミラン、熟成度でユーベに完敗。
posted2014/09/21 15:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
今、ミランと王者ユベントスとの間には、どれぐらいの差があるのか?
2戦8発のミラン攻撃陣は、今年4月から無失点時間を更新し続けるユーベ鉄壁の守備陣にも通用するのか?
9月20日のセリエA第3節。ともに開幕2連勝で迎えたサンシーロでの直接対決に、本田圭佑も、監督インザーギも、その答えを見つけようとした。
開幕から3試合連続先発の本田は、やはり右サイドFWに入り、好調のFWメネズと先発復帰したFWエルシャーラウィと3トップを組んだ。
ただし、過去2戦と異なり、キックオフ直後から、ミランの出方は慎重だった。狙いすました連続プレスのペースが上がってきたのは、試合が始まって10分が過ぎたあたりだった。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、試合当日紙面で、ミランを大猫に、ユーベを猛犬ピットブルに喩えた。
曰く、ボールをある程度相手に渡し、自陣から一気にカウンターを放つミランは、まるで懐へおびき寄せておいて不意に爪の一撃を食らわせる猫のようだ。どんな相手でも牙をむき、ボールと相手に食らいつく猛犬がユーベだ、と。
徐々にボールを支配され、自陣に追い込まれたミラン。
ミランの指揮官インザーギは、ユーベ対策を練っていたはずだった。特に攻撃の核である10番テベスには、CBラミとMFデヨングで挟みこむ手を講じていた。
ただし、ユーベが持たされた試合の主導権をそう簡単に譲るはずがない。ミランはボールを支配され、自陣に追い込まれた。
過去2戦での大きな武器だった最終ラインからの縦パスは、イタリア代表DFキエッリーニとウルグアイ代表カセレスからことごとく切られた。3トップは分断された。
中盤の隠れた功労者だったMFデヨングは、テベスのケアに手一杯で、カバーするエリアが極端に狭まった。攻撃への展開など望むべくもなかった。
だが、チームのスピリットまでもが失われたわけではない。
27分、本田がユベントス・ゴールを急襲した。