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ルイス・エンリケが回す「好循環」。
カンテラへの信頼がバルサ再生の鍵。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2014/09/24 10:50
ルイス・エンリケは新監督ながら、リスクを恐れず多くの選手を起用し、チームの再生を急ピッチで進めている。
カンテラの選手を序盤から使うという英断。
ここにもルイス・エンリケ流の監督術がある。
足りない3人はBチームに登録されているカンテラ出身の若者である。
過去カンテラの選手をトップチームのプレシーズンに参加させた監督は多々いるが、そのまま開幕後も使い続けた者はほとんどいなかった。シーズン序盤はリスクを避けて結果を優先し、チームを波に乗せたいからだ。
「シーズン最初の5試合」という条件で振り返ると、バルサのカンテラとトップチームの関係を現在の形に変えたクライフでさえ、思い切ってデビューさせたのはアモールとジョルディ・ロウラの2人だけ('88-'89シーズン)。ライカールトも監督初年に当たる'03-'04シーズンのセルヒオ・ガルシアとロスだけ。カンテラ重視のイメージが強いグアルディオラに至っては1年目の第2節にブスケッツを抜擢したのみである。
ムニル、サンドロ、サンペルという若き才能たち。
ところがルイス・エンリケは、ムニルとサンドロという10代のフォワード2人を信頼し、デビューさせた後も試合のたびに出番を与えている。ペドロやネイマールがいるにも拘わらずだ。こうした処遇がなければ、9月8日のユーロ予選でムニルがスペイン代表デビューすることもなかっただろう。
また9月17日のCLグループステージ第1節アポエル戦では19歳のサンペルを先発起用した。場所はカンプノウ、相手は比較的楽なキプロスのチームとはいえ、確実に勝っておきたい試合で勇気ある決断だった。
「Bチームにはレベルの高い選手がいる。若者にはぜひチャンスを与えたい」
開幕前こう語っていたルイス・エンリケだが、シーズンのこの段階で実際にそうするとは誰も予想していなかっただろう。