試合開始直後、マインツを圧倒していたドルトムント。

　香川真司は先週のフライブルク戦に引き続き、ドルトムントのトップ下の位置でスターティングメンバーに名を連ねた。対するマインツは普段とは異なり、トップ下を置かずに中盤に配置されたのはいずれも守備的なポジションを本職とする選手たちで｛4－1－2－3｝のような形になった。ドルトムントの攻撃に対応するためだ。もちろん、岡崎はセンターフォワードの位置で先発した。

　大方の予想通り、試合開始からドルトムントがマインツを圧倒していく。4日前のCLでは筋肉の疲労を考慮されて出場しなかった香川もトップ下に入って、キレのあるプレーを見せていった。

　とりわけ、香川のボールを受ける際のタッチは切れ味抜群だった。1週間前のフライブルク戦でもクロップ監督は香川のボールを受ける際のターンを絶賛していたが、あの試合とは比べものにならないほどのキレがあった。

大いに躍動し、自信を持ってプレーできていた香川。

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　7分には後方からのパスを反転してトラップ。アドリアン・ラモスへのスルーパスは合わなかったが、彼がボールを受けた時点でチャンスの匂いがしていた。

　圧巻は14分のプレーだ。自陣左サイドの低い位置でボールを受けた香川は、ファーストタッチでバウムガルトリンガーをかわして、ボールを運んでいく。バウムガルトリンガーに追走されながらも、何度も何度も顔を左右に振って状況を確認しつつ、それでいてドリブルのスピードは落ちない。それだけ自信を持ったボールタッチができているからなのだろう。

　ペナエルティエリア手前で右にパスを出すと、これを受けたオーバメヤンがクロスを送る。ペナルティエリア内の左サイドに入ったラモスがヘディングシュート。この試合で最初の決定的な場面だった。

　この間、マインツに唯一チャンスが訪れたのは、8分にバウムガルトリンガーが左サイドのスペースにボールを送り、岡崎がこれに追いついたあとのシーンくらいだ。岡崎がドリブルをしかけ、ペナルティエリアに斜めに切れ込もうとしたところで、ドルトムントのセンターバックに入ったギンターはファールで止めるしかなかった。もっとも、そのFKはピッチに足を滑らせたキッカーのガイスのミスキックで活かすことは出来なかったのだが……。

　15分がすぎると、ドルトムントの勢いも少し落ち着いたが、それでも両チームともボールを奪ってから素早く攻撃に移るため、試合はハイペースなまま進んでいった。

【次ページ】　ドルトムントが優勢に試合を進めていたはずだが……。