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“シンジ対決”での主役は岡崎!
香川の復調、丸岡初陣にも煌めきが。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2014/09/21 15:00
試合終了直後にユニフォームの交換をした岡崎と香川。「序盤のチャンスさえ決めていれば、こちらの試合だった」とポジティブなコメントを残した香川。
香川のチーム連係は、まだまだ完璧には遠い。
「もっと良くなる」というのは負け惜しみでもなんでもない。会心の試合となった火曜日のアーセナル戦のあとでさえ、クロップ監督は警鐘をならしていた。
「チームの連係についてはまだ、完璧にはほど遠いね」
今シーズンから攻撃的なポジションに、ラモス、インモービレ、そして香川が加わった。昨シーズンから所属している他の選手との連係も含めて、改善すべき点はいくつもある。
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この試合ではっきりしたのは、良いプレーをしていても、ゴールに絡めなければ香川といえども交代を命じられるということだ。
香川はこれから、ラモス、インモービレ、オーバメヤンに加えて、現在は負傷中のロイスとのレギュラー争いに挑むことになる。計5人がひしめきあっているが、彼らに前線で用意されているのは2つだけしかない。香川が23番を背負って在籍した2010-11シーズンからの2年間よりも明らかにハイレベルな争いが待っている。当時は、実質的にはレバンドフスキ、バリオス、香川の3人で前線の2つの枠を争っていたわけだった。だから、イングランドでの苦しい2年間を経て、ドルトムントに戻ってきたのは都落ちだという見方は安易すぎる。
ドルトムントのレギュラーは、欧州のトップと同義。
ただ、こんなに幸せない環境は他にそうはないだろう。
以前とは異なり、ドルトムントの前線でレギュラーになるということは、ヨーロッパのトップクラスのクラブでレギュラーを張ると同義なのだ。すでにUEFAのクラブランキングで12位にまで登りつめているドルトムントはおそらく、今シーズン終了後にはその順位を一ケタ台に乗せることになるはずだから。
そして――。
殊勲の決勝ゴールを挙げた岡崎は、試合後にこう振り返った。
「今までブンデスリーガでやってきた中でベストなプレーだったと思います」
実は、この試合は岡崎にとってはブンデスリーガでの100試合目だった。100試合目で今までのベストのプレーを見せられたことについて感想を求められると、こう答えた。
「コツコツやってきたなという感じですね。僕はそういうことはあまり言わないんですけど、今日、初めて言いましたよ(笑)。もちろん、今日の試合がベストというのは、強い相手に対しての戦い方で自分が良かったということだけですけど。強い相手との試合で簡単に失う場面もなかったし、ファールももらえた。もしもゴールを決めていなかったら満足は出来ないですけど、ゴールを決められて、なおかつ、チームを助けられた。今日くらいは『良かったなぁ』と言いたいですね」