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ベンゼマ、1222分の無得点を超えて。
「デシャンとならどこまでも行ける」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/06/24 10:30
プラティニ、ジダンと受け継がれてきた10番を背負い、26歳にしてチームでは年長組に入るベンゼマ。チームが空中分解した南ア大会から4年、フランスは結束を見せることができるか。
ブラジルという言葉で連想するのは「ロナウド」。
――それではブラジルという言葉で、まず何を思い浮かべますか?
「ロナウドだ。子供のころの憧れだったし、今でも大好きな選手だからね。彼の試合、彼のビデオを見て、本当に多くのことを僕は学んだ。貪るように見ていたんだ。今でもときどきDVDを見ているよ。彼は僕にとって唯一の存在なんだ。もちろんジズーもずっと見てきたけど、ロナウドのようになりたいと僕はずっと夢見てきた。個人技だけでなく、コレクティブなプレーでも彼は凄かった。特にジズーとのコンビネーションは今も目に焼きついている」
――すでにマドリードで彼に会っていますね。
「レアルに来て最初のシーズンに、僕の代理人(カリム・ジャジリ)がロナウドと親しいクラブの元広報とふたりで、僕に内緒で出会いをセッティングしたんだ。マルセイユとのチャンピオンズリーグを控えた週のことで、突然スタジアムに呼び出された。特に理由は告げられず全然気が進まなかったけど、(当時OMに所属していた)ママドゥ・ニアングが待っていると思ったからとにかく行ったんだ。誰もいないスタジアムにロナウドが現れたときは、本当にビックリした。言葉が出なかった。たしかにまだスペイン語は喋れなかったけど、たとえ喋れても何も言えなかった」
彼の記録を抜く日が来るとは思いもしなかった。
――ヘタフェ戦でロナウドがレアルであげた得点記録(104点)を上回り、111点まで記録を伸ばしました。
「彼の記録を抜くのが目的ではなかったけど、感慨は深かった。レアルのような名門クラブで、彼ほどの偉大な選手を上回るのは、もの凄く名誉なことだからね。何よりもロナウドは、サッカーの歴史においても最高のストライカーのひとりだ。レアルにやって来たとき、まさか彼の記録を抜く日が来るとは思いもしなかった。小さな個人的な記録に過ぎないけど、誇りを感じている。ただ、このクラブで獲得したチームのタイトルの数々にはそれは及ばない。僕がここに来たのも、クラブに貢献するためだからね」