ブラジルW杯通信BACK NUMBER
サポートメンバーだった前回から4年。
香川真司を奮起させる重い「失望」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/06/16 11:40
自身のサイドから2失点を喫し、86分には柿谷曜一朗と交代した香川真司。日本の10番が真の輝きを取り戻した時、グループリーグ突破への光明は見えるはずだ。
1点リードしても、全くなかった余裕。
相手のシュートミスで救われる場面がありながらも、日本はゴールを守り続けた。そこから反撃に出ようとしても、攻撃のスイッチが入らない。コートジボワールの守備が特別厳しかったわけではない。1対1の場面では、フェイントでディフェンダーをかわすこともできたが、そのあとが続かなかった。パスのズレが生じれば、チャンスもピンチへ変わる。
「ボールを獲ったあとも、自分たちのミスから自滅していった感じがある。ボールを受けたときの(味方との)距離感が悪くて、一人一人をすごく遠く感じました。連動性もなかなかうまく回っていなかった。特に個人的にもボールを失う場面が多くて、そうなるとなかなかリズムを作れなかった。なんか、1点リードしているんですけど、すごく余裕がないという感じでした」
冒せなかったリスク、トップ下、そして交代。
それでも無失点で迎えたハーフタイム。修正点を確認し、後半へ挑んだ。
「ボランチのところでもう少しボールを受けて、時間を作り、ボールを支配していこうという話はしていました。ヤヤ・トゥーレがなかなか守備をしないので、そこをついて、中央で落ち着いてボールを回していこうと。
でもまあ、それがなかなかうまくいかなかったですね。自分たちがボールを持って、主導権握って、前へどんどん出ていくサッカーであったり、いい距離感でやっていくサッカーっていうのができないと、相手に主導権を握られる。そういう意味では攻撃においての共通意識がなかったし、リスクも冒せなかったというか……」
そして、62分にドログバが登場すると、ゲームは一気に動き始める。64分、66分と日本の左サイドからクロスをあげられて、ゴールを許した。ドログバにボールを預けながら、コートジボワールは時間を消費していく。67分に大迫勇也に代わり、大久保嘉人が投入されると、本田が1トップの位置に立ち、香川がトップ下に。
「何度かやっていますし、混乱することはなかった。僕らは攻めていくしかないから」
しかし、好機を生むこともなく、香川は86分、柿谷曜一朗に代わりピッチを去った。