ブラジルW杯通信BACK NUMBER
サポートメンバーだった前回から4年。
香川真司を奮起させる重い「失望」。
posted2014/06/16 11:40
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takuya Sugiyama
「勝って、日本を世界に知ってもらいたい」とコートジボワール戦前日に語った香川真司。
「うまく主導権を握ってゴールへ迫っていくサッカー。攻守の切り替えで相手の守備にプレスをかけていくこと。基本的なことが大事。そういうことができないと過去の経験上、くずれていく。粘り強いサッカーが必要。90分とおして、自分たちが、自分たちのサッカーを信じてできたときはいいサッカーができている。そういう意味で入りが大事。前半、自分たちのスタイルをつらぬいて、ぎりぎりの戦いを勝っていきたい。今は楽しみしかないし、仲間を信じてやるだけ。やり残したことはまったくない」
自身初めてのW杯を前に清々しい表情で言葉を重ねていた。
「やっと、このときが来た」
サポートメンバーとしてスタンドで試合を見ることしかできなかった南アフリカ大会から4年。W杯のピッチで、君が代を聴きながら、そう感じたという。
「最初の(試合への)入りを大事にしていたので、そこは意識しました。でも、明らかに慎重になっていましたし、去年のコンフェデのブラジル戦のように失点しないように戦っていた」
コートジボワール相手に消耗してしまった体力。
手堅い試合運びをしたのは、日本だけではなく、コートジボワールも同じように思えた。そんな堅い試合が動いたのは16分。長友佑都のスローインを受けた香川が長友へつなぎ、長友のパスに反応した本田圭佑のシュートがゴールネットを揺らした。その直後に追加点を狙えるチャンスも訪れたが、徐々に日本は自陣へと押し込まれていく。前線からプレスをかけようとするものの、コートジボワールが上手くそれをかわす。結果、日本はコンパクトな陣形が作れない。
「相手の前線の選手を脅威に感じていたし、僕らは攻めの姿勢というのを見せられなかった。守備もなかなかはまりどころが見つかりにくかったですし。相手との距離も遠かったから、一人一人を捕まえにくくて。サイドバックもすごく上がってきましたし、守備での追い方にすごく苦労し、(体力を)消耗した部分はあったと思います」