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メッシ獲得は「353億円」の価値有り!
選手の移籍で発生する経済効果とは。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byAFLO
posted2014/05/21 16:30
4年連続のバロンドール、シーズン史上最多得点など多くの記録を打ち立てたメッシは、史上最高額の年俸を得る選手となった。もし移籍するとなれば、その移籍金は天文学的な数字になって当然なのだ。
メッシを獲得できるのは、そもそもビッグクラブ。
何が言いたいかというと、放映権収入は総額自体は非常に大きいものの、均等割りという土台の上で、人気や成績によって加算額が増減する仕組みであるため、メッシが加入することで得られるメリットが実は意外と少ないということなのです。
しかも成績が上がることによる増額分(最初に述べた「競技者としての価値」)を差し引いた、純粋な商業的価値となると、放映権収入を大きく伸ばすほどの影響力は見出しにくいと言えます。
さらに強豪クラブの放映権収入に関してはもう一つ、チャンピオンズリーグ(CL)も考慮に入れなければなりません。CLの開催を通じてUEFAが稼ぎ出す約9億ユーロ(1260億円、'12-'13シーズン、1ユーロ=140円で計算)もの収益のうち大部分を占めるのが放映権収入ですが、これは「TVフィー」と「勝利ボーナス」という形で出場クラブに分配されます。
TVフィーは出場32クラブ全てに支払われ(そのクラブが本拠地を置く国の放送市場の価値に応じて金額の多寡が決められる)、勝利ボーナスは言うまでもなく、勝ち進むことで加算される性質のものです。これもやはり、メッシの移籍先はCLの常連と言えるようなクラブになる可能性が高いことから考えて、移籍によるプラスの収益は生まれないことになるのです(勝利ボーナスは「競技者としての価値」であるため、考慮に入れない)。
5年契約なら、225~250億円の商業価値が。
以上4つの収益分野の分析から見えてくるのは、グッズ収入30~35億円+スポンサー収入10億円+放映権収入(人気による増収分)5億円=45~50億円が、メッシ加入によってダイレクトに増えることが予想される利益だということです。
仮に5年契約を結ぶと仮定すると、225~250億円前後が商業価値に基づく適正な移籍金と言えるのかもしれません。
ここで話を閉じてもよいのですが、実はメッシほどの選手になると、在籍クラブにさらなるビジネスチャンスをもたらすことになります。それがワールドツアーです。
ワールドツアーを開催できるのは、世界の中でもトップクラスの人気を誇る、ほんの一握りのクラブだけ。メッシの加入は、その仲間入りをする原動力になり得ます。