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メッシ獲得は「353億円」の価値有り!
選手の移籍で発生する経済効果とは。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2014/05/21 16:30

メッシ獲得は「353億円」の価値有り!選手の移籍で発生する経済効果とは。<Number Web> photograph by AFLO

4年連続のバロンドール、シーズン史上最多得点など多くの記録を打ち立てたメッシは、史上最高額の年俸を得る選手となった。もし移籍するとなれば、その移籍金は天文学的な数字になって当然なのだ。

ベッカムがロサンゼルスにもたらしたスポンサーたち。

 次に、スポンサーについて考えます。新規のスポンサーがついたとして、その動機がメッシの加入にあるのかどうかを判定することは難しい面はありますが、これも過去の事例から仮説を立ててみたいと思います。参考になるのは、'07年にレアルからベッカムを迎え入れたロサンゼルス・ギャラクシーのスポンサー収入の変動です。

 ギャラクシーは現在、年間スポンサー収入が1400万ドル(14億円 ※1ドル=100円で計算、以下同)。規模としてはJ1の平均的なクラブと同等です。

 そんなクラブに、ベッカムがやってくることで何が起こったか。まずベッカム移籍の2カ月後、空いていた胸スポンサーにサプリメントなどを主力商品とするハーバライフが年間4億円で契約。さらに、デルタ航空やアメリカンエキスプレスといった優良企業が新規スポンサーについたことで、合計10億円もの収入増につながりました。メッシにもそのポテンシャルはあると見ます。

システム的に、放映権は大きくは増えづらい。

 それでは、放映権はどうでしょうか。移籍先がどの国のクラブになるかによって条件が変動する面はありますが、公式発表のデータがあり、最も確度の高い分析が可能なプレミアリーグを例に考えます。

 イングランドの全国放映権および世界各国への放映権からなるプレミアの放映権収入は、リーグの一括管理のもと、4つのプールに分けられています。全ての所属クラブに平等に配られる「均等割り」のプールが2つあり(国内分と海外分)、残る2つがFacility FeesとMerit Paymentというプールです。Facility Feesとは、放送回数や視聴者数に比例して分配金が増減する「人気別・不均衡」のプール、そしてMerit Paymentは、リーグ順位によって分配金が変わる「成績別・不均衡」のプールです。

 こうした分配システムの結果、'12-'13シーズンの各クラブが得た放映権収入のリストを見ると、最も多かったのがマンUの6081万ポンド(約103億円)、3位のアーセナルが5711万ポンド(約97億円)となっています。このうち、「人気別・不均衡」プールから割り当てられた分配金の差額は3億円弱でした。

【次ページ】 メッシを獲得できるのは、そもそもビッグクラブ。

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