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メッシ獲得は「353億円」の価値有り!
選手の移籍で発生する経済効果とは。
posted2014/05/21 16:30
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
AFLO
325億~350億円
(メッシを5年契約で獲得した際の、経済効果)
バルセロナは5月16日、条件の改善をめぐって協議が続いていたリオネル・メッシとの契約見直しに合意したと発表しました。「マンチェスター・Cが353億円で獲得か」などと移籍の可能性も報じられていましたが、ひとまずはバルサ残留が決まったわけです。
とはいえ、メッシが将来的に移籍という道を選択する可能性は十分に考えられます。今回の「スポーツのお値段」では、メッシという世界最高クラスの選手をモデルケースに、「移籍金」について考えてみましょう。
クラブ間の合意によって設定される移籍金とは、「選手の価値」を金額に換算した値だと言えます。そこには、チームの勝利に対してどれだけの貢献度を期待できるかという「競技者としての価値」と、その選手の存在によってどれだけ商業的な利益が見込めるかという「経済的価値」が含まれています。
このコラムでは後者、つまりメッシの商業的な価値について深く掘り下げ、そこから想定される移籍金の額を導き出してみたいと思います。
クラブ収益の4本の柱とは。
それでは、メッシがチームに存在することによって増えるチームの収益とはどのようなものなのか?
欧州のサッカークラブの収益には4つの柱があります。単純にボリュームの大きい順に並べると「放映権」「スポンサー」「チケット」「グッズ」となりますが、選手個人が直接的に及ぼし得る影響力を基準に並べ替えると、「グッズ」「チケット」「スポンサー」「放映権」とその順序はきれいに逆転します。スポンサーや放映権は、グッズやチケットに比べて、チーム全体のブランドや戦績などの要因に影響される度合いが大きくなるからです。