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イビチャ・オシム、日本への提言。
「メディアも選手も監督も準備せよ」
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/05/12 16:30
オシムは内田について「なるようになるだろう」と語っていたが……。5月12日、自身2度目のW杯代表メンバー入りを決めた。
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【2】 〈オシムとの対話〉
「しっかりと準備せねばならない。メディアも選手も監督も」
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――聞こえますか。元気ですか?
オシム まあまあだ。そう思うようにはいかないこともあるが。で、そちらはどうだ。天気はいいのか?
――いえ、今日は雨です。それでちょっと肌寒いです。
オシム こちらもいつもより少し寒い。でもまあまあだ。
――明日と明後日はACLのグループリーグ最終戦があります。
オシム いろいろと問題があるのではないか。
――どんな問題ですか?
オシム 日本代表だ。選手の怪我とか、もろもろの問題だ。
――そうです。例えば吉田をはじめ何人かが怪我をしています。
オシム 誰だ?
――吉田です。それから長谷部もまだ完治せずに回復を待っているところです。
オシム 長谷部もか。だが、彼は怪我をしたのか、それとも疲れたのか?
――あなたが前から言っているように、たぶんその両方だと思います(笑)。
長谷部、内田はなるようになるだろう。みな小さな事柄だ。
オシム ドイツでずっとプレーし続けるのは簡単ではないからな。仕方のないことだし、疲れを癒すいい機会にもなるだろう。終盤のこの時期に休養がとれるのは。
――それに内田も長期離脱しています。
オシム なるようになるだろう。それらはみな小さな事柄だ。マッサーが入念にケアをしてすぐに治すだろう。質の高いマッサージを受けて、しっかり食べて休養を取れば、自ずと回復する。
――そうかもしれませんが(笑)。
オシム そういうものだ。
――フィジカルコンディションは本当に重要ですから。
オシム 重要という以上のものだ。
――そして、準備に関して言えば……。
オシム まずはよく見極めることからはじめる。たとえば新しいスタジアムのピッチ状態がどうなっていて、選手たちがそれにどう適応すればいいのか。ブラジルのピッチ状態が必ずしもいいとは限らない。それは実際にその上を走る選手のほうが、外から見るわれわれよりも具体的に感じることだ。軽視していいことではない。すべてのピッチが新しい。思ったよりも固いかも知れないし、柔らかいかも知れない。
――滑りやすいかも知れない。
オシム そこをしっかり見極める。そして選手がどう適応していくか。ブラジルは大西洋の海岸線が長いから、砂浜が多いだろう。優れたピッチが完成することを願ってはいるが、たぶん通常よりは砂の混じる比率が高くなるのではないか。日本もそうだろう。
――十分にあり得ます。
オシム まったく新しいのだから。