リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
シメオネの能力を見くびっていた!
アトレティコ、2冠に王手の秘密。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2014/05/08 10:30
アトレティコの監督に就任して3年目、5位、3位、そして今季は現在1位とチームは鋭角に上昇曲線を描いてきた。夢の2冠、達成なるか。
シメオネの能力を見くびっていた予想。
昨季のリーガを3位で終え、国王杯を制したアトレティコは、今季もCL出場圏には入るだろうが、バルサやマドリーと競り合うには至らない。4年ぶりに出場するCLも組み合わせ次第で勝ち進むかもしれないが、せいぜいベスト8。
それが2冠にリーチをかけるなんて、当のアトレティコの選手でさえ想像もしていなかっただろう。
筆者やスペインのメデイアがアトレティコの強さを読めなかった原因ははっきりしている。監督シメオネを見くびっていたからである。
「俺はサッカーから生まれてきた」と口癖のように言う彼の戦術家としての側面は、アトレティコを率いるようになった一昨季から知られており、すでに評価もされている。
が、モチベーターとしての実力は正しく測られていなかった。
「選手の中に決勝まで行けると思ってたやつはいない」
アルゼンチンのエストゥディアンテスで、シメオネの下、優勝を経験したアグスティン・アラジェスはチリのラ・テルセラ紙でこう語っている。
「彼は自分の教えを自ら実践するんだ。彼から伝わってくる情熱は、言葉では説明し難い。俺たちもメディアには全く無視されていたけれど、シメオネの確信と努力で最終的に王者になった。不可能なことも可能だと、彼は本気で信じているんだ」
その信条こそがCLでのアトレティコをリードしたことを、ある選手は匿名でエル・パイス紙に明かしている。
「言われ続けたんだ。なぜグループステージ突破は無理だと思う? なぜミランを破って勝ち進むのは無理だと思う? なぜバルサに勝てないと思う? 準決勝まで来たのに、なぜチェルシーには敵わないと思うって。選手の中に決勝戦まで行けるかもって思ってたやつは1人もいなかった」