セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田と長友、交わらなかったふたり。
消極的なダービー、既にW杯モードに。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/05/07 12:15
セードルフ監督は「(日本人対決を予測するだろう)敵の裏をかきたかった。相手の攻撃を阻むために守備のフォーメーションを修正した」と試合後に語っていたが……。
地下鉄の最寄り駅「ロット」から汗ばむ陽気の地上に出ると、すでに車内で目にしていた日本人の数が、何倍にも膨れ上がった。
地元サポーターに混じった彼らは、皆一様に“カルチョの殿堂”サンシーロを目指した。スタジアムへの道すがら、「HONDA 10」と「NAGATOMO 55」の文字が、彼らの背中で誇らしげに揺れていた。
だが、5月4日に行なわれたミラノダービーで、期待されていた“日本人対決”は実現しなかった。
インテルMF長友佑都はフル出場したものの、ミランの10番をつけたMF本田圭佑は初めてのミラノダービーをベンチに座ったままで終えた。
両チームの拙攻が目立ち、消極的な展開に終始したダービーだったが、本来はEL出場権をかけた激しい一戦になるはずだった。
付け焼き刃で戦い続ける、セードルフのミラン。
ミランの監督として初めてダービーに臨んだセードルフは、4-3-1-2へ布陣を変えてきた。
前節ローマ戦で故障明けの本田がプレーした右サイドには、MFポーリが先発した。
FWバロテッリとFWカカが置かれた2トップと、攻撃の組み立て役となるべきMFターラブトとMFモントリーボとの連携はほとんど機能しなかった。縦にも横にもパスはつながらず、セードルフのプランと指導が付け焼刃であることは一目瞭然だった。
流れの中からゴールが奪えないミランは、セットプレーに頼るしかない。
後半20分、相手のペナルティエリア右の位置で得たFKをバロテッリが鋭くゴール前へ蹴り込む。MFデヨングが強烈なヘディングを合わせて先制に成功すると、ミランはそのまま虎の子の1点を守り、逃げ切った。
敗れたインテルのMF長友佑都は、3-5-2の左サイドハーフとして先発した。
ネラッズーロ(黒・青)の背番号55を背負って4年目の長友は、新監督マッツァーリの下で今季著しい成長を見せていた。