リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
シメオネの能力を見くびっていた!
アトレティコ、2冠に王手の秘密。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2014/05/08 10:30
アトレティコの監督に就任して3年目、5位、3位、そして今季は現在1位とチームは鋭角に上昇曲線を描いてきた。夢の2冠、達成なるか。
マネージメントの成果は試合にも出ている。
そうしたシメオネのメンタルマネージメントの手腕は、リーガの試合でも感じられる。
たとえばピッチに立つ11人が示す強い連帯。キックオフから試合終了のホイッスルまで変わらない懸命さと途切れない集中。大差で勝っている場面でも0-0のときと同じ勢いでゴールを狙いにいく姿勢。そして、ローテーションのないアトレティコでほぼ全試合に出ているにも拘わらず、疲労に影響されない選手のパフォーマンス。
ミランダ、ゴディン、フィリペ・ルイスによるディフェンスラインは、シメオネが監督に就任する直前の'11年12月、国王杯で2部Bのアルバセテ相手に2試合で3失点した。しかしいまやリーガで最も堅い守備壁を作り、アトレティコの失点を昨季に引き続き20チーム最少に留めている。
「自分が求めることを相手に納得させ、責任をもって取り組ませる力がある。そこに現役時代に得た知識が加わるんだ」
アルゼンチンのラシンで監督デビュー直後のシメオネと過ごしたホセ・ルイス・ビジャヌエバは証言する。
「要求が厳しく、頭の良い監督だよ」
先週末、意外にもレバンテに敗れてしまったアトレティコだが、首位は変わらず、残り2節を1勝1分けで優勝となる。
その後はマドリーとの史上初のCL決勝戦ダービー。
18年前、シメオネは選手としてアトレティコ唯一の2冠獲得に貢献した。
今度は監督としてクラブ史上初のCL制覇を含む2冠をアトレティコにもたらす。