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松坂大輔、開幕メジャーへ絶好調。
全てを変えた“過去からの脱却”。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAFLO

posted2014/03/08 11:00

松坂大輔、開幕メジャーへ絶好調。全てを変えた“過去からの脱却”。<Number Web> photograph by AFLO

3月2日に行なわれたカージナルスとのオープン戦に初登板した松坂大輔。2回2安打1失点ながらも、自身の投球の変化をしっかり確認し、その存在を首脳陣にアピールした。

充実のオフと、万全の準備でのキャンプイン。

 もちろん松坂自身も、ここまでの調整には納得している。

 10日前に現地入りするなど、万全の準備で臨んだキャンプインでもあったが、それとともにこのオフのトレーニングがかなり充実していたようだ。

「昨シーズンは終わるのが早かったのですが、休むのは少しにして、まずは身体のケアから始めました。それでトレーニングに入れる身体の状態にするのが、いつもより早くできたんじゃないか。その分身体の状態も良かったので、負荷をかけたトレーニングもやってこられました。

 投げることに関しては、(昨年から)ブルペンを見たいといつ言われてもいいような状態にしておいたのが大きいですね。遠投もしていたので、年が明けてすぐにブルペンに入ることもできました。

 オファーがあればメッツにいくことは決めていました。正式に決まるまでも話し合いはしていたので、いずれにしろここに来るのはわかっていました。トレーニングに向かう精神状態も、いいものだったんではないかと思います。ただあまり難しいことは考えてなかったですね。去年よりもいい状態でキャンプインできたらいいな、と思っていただけです」

 本人の言葉通り、心身ともに安定した状態でトレーニングを積み、自分の思い描いたかたちでキャンプに臨んでいるのだ。

「今までのことを無しに」という過去からの脱却。

 しかしここまでの松坂の好調を支えているのは体調面だけではない。むしろそれ以上に重要なファクターになっているのが、投手としての“過去からの脱却”だ。

「(このオフは)今までのことを無しにしてやってきました。説明すると長くなるし、ここで言うべきことではないですね。まだ僕はやっている途中ですし、簡単に説明して誤解されるのも嫌なので。

 ただ去年までとは極端にやり方を変えてきたつもりです。考え方もそうですし、身体の使い方もそうですし、まずゼロにするという作業をしてから新しいことに取り組んできました。

 自分でも今後どうビルドアップしていくか予想がつきづらいですけど、今のところはゆっくり一歩ずつ一歩ずつ上に上がっているような手応えを感じられているので、ここまではいい方向に進んでいるというぐらいですかね」

 詳細については説明を避けたが、このオフから松坂は、今まで積み上げた経験を一度切り離して新しい試みにチャレンジしている。その一環が投球フォームの改善である。キャンプ中もほぼ毎日のように個別にビデオを撮影し、投球動作の確認を続けている。

【次ページ】 「これ以上悪くなることはない」からのスタート。

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