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松坂大輔、開幕メジャーへ絶好調。
全てを変えた“過去からの脱却”。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAFLO

posted2014/03/08 11:00

松坂大輔、開幕メジャーへ絶好調。全てを変えた“過去からの脱却”。<Number Web> photograph by AFLO

3月2日に行なわれたカージナルスとのオープン戦に初登板した松坂大輔。2回2安打1失点ながらも、自身の投球の変化をしっかり確認し、その存在を首脳陣にアピールした。

「これ以上悪くなることはない」からのスタート。

 実は松坂は昨シーズン途中から、変化の必要性を感じていたようだ。

 松坂は2011年にいわゆる“トミー・ジョン”と言われる右ヒジの腱移植手術を受けている。

 この手術を受けて以降、昨年まで一度たりとも納得できる投球ができていなかったのだという。昨シーズン終盤にメッツに移籍し、最後の3試合で登板し、3連勝を飾った投球でさえもだ。

「あれはただ、開き直って投げていただけですから。だからスローカーブを多めに使ったりしてみたんです。決してあの時も投球自体に納得はしていませんでしたね。

 (去年の)シーズン中から『変えよう』とは思っていました。ただシーズン中はやはりリスクが大きかったので。終わるまでは我慢だと。

 僕の中に良い形のものが残っていれば悩むこともあったかもしれないですけど、自分の中にそういうものが残っていなかった。これ以上悪くなることはない、というところからのスタートだったので、そんなに難しい決断ではなかったです」

登板翌日のブルペン入りという異例の調整。

 キャンプ中の松坂の表情や動作から読み取る限りでは、その変化が正しい方向に進んでいることだけは間違いなさそうだ。

 2月27日の紅白戦登板を終えた翌日、松坂は全体練習を終えた後、そのままブルペンに向かい、シャドーピッチングでフォームの確認をし、さらには力を入れないゆっくりとしたものではあるが投球練習も行なった。

 紅白戦登板翌日にブルペン入りするのは、メジャーではもちろん異例のことだ。それでもワーセン投手コーチらも、笑顔を見せながら松坂の投球を見守り続けた。

「昨日できていなかったので確認しておきたかった。ゆっくりな動きでできるようになれば、普段の投球でもできるようになるので。昔の悪い部分が出るとわかるし、どう修正したらいいかもわかっています。でも試合では無意識で出来るようになりたいですね。マウンドの上でフォームを気にしたくはないですから」

【次ページ】 2001年の野茂とオーバーラップする松坂の姿。

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