MLB東奔西走BACK NUMBER
松坂大輔、開幕メジャーへ絶好調。
全てを変えた“過去からの脱却”。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAFLO
posted2014/03/08 11:00
3月2日に行なわれたカージナルスとのオープン戦に初登板した松坂大輔。2回2安打1失点ながらも、自身の投球の変化をしっかり確認し、その存在を首脳陣にアピールした。
3月1日のフィリーズ戦でオープン戦初登板を果たし、2回2安打無失点、3三振と上々のスタートを切ったヤンキースの田中将大投手。今後もシーズン開幕に向け、さらに注目が集まることになるだろう。
かつて現在の田中にも優るとも劣らない喧騒と共にメジャーに迎えられた男がいた。
2007年に当時史上最高額(5111万1111.11ドル)の入札額でレッドソックス入りした松坂大輔投手である。
当時は“ジャイロボール”の使い手として全米中の注目を浴び、キャンプ前からまさにメディア、ファンを挙げての大騒ぎの状態だった。
喧騒とは無縁の静かなキャンプイン。
あれから7年が経った。
現在の松坂はメッツとマイナー契約を結び、招待選手として開幕メジャーを争っている。
かつての喧噪が嘘だったかのように、キャンプ初日に集まった日本人メディアの数はたった3人。その後も3月2日のカージナルスとのオープン戦初登板まで、メディアから注目されることはなかった。
そんな“静かな”キャンプを過ごす松坂だが、絶えず笑みがこぼれるほど、すこぶる順調な調整を続けている。
「普通、キャンプはシーズン開幕に向けた準備をする場だが、ダイスケはすでに投げる準備ができているようだ。彼は現在先発ローテーションを争っている立場だが、我々にとってもシーズンの鍵を握る重要なスポットだと考えている」
投手・捕手組のキャンプ初日を終え、松坂のブルペン投球を見守ったテリー・コリンズ監督は、手放しでその調整ぶりを賞賛した。
監督だけでない。2月24日に松坂がフリー打撃に登板した際、ダン・ワーセン投手コーチも松坂の仕上がり具合に目を細めるばかりだった。
「素晴らしい投球だった。もう公式戦で7イニングぐらい投げてもおかしくないような内容だ。何も言うことはない」
その後キャンプが進んでも、首脳陣の評価はまったく落ちることなく、調整も完全に松坂に一任。まさに全幅の信頼を寄せられている。