オリンピックへの道BACK NUMBER
「歩夢」「卓」と呼び合う2人の神童。
スノボ界初のメダルが日本を変える。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/13 16:30
なかなかメダルが取れなかった日本に、最初の輝きをもたらした平野歩夢(左)と平岡卓。日本のスポーツシーンに新たなスターが誕生した。
「歩夢」「卓」と呼び合う2人の関係。
特徴的なのは、「歩夢(あゆむ)」「卓(たく)」と年齢にかかわらずフランクに呼び合う2人をはじめ、ハーフパイプの代表選手たちのまとまりのよさだ。
「チーム力を力にしたいと思います」
試合を控え、萩原文和監督はこう語っていたが、バンクーバー五輪のあと、意識してチームとしての強化を図ってきた。しばしば合宿を行ない、トレーニングをともにするなど一緒に過ごす時間を作ってきた。
その中で切磋琢磨し、お互いに刺激しあう関係も生まれたという。
2人はメダル獲得後、互いを称えあった。それも含め、思い切りを生んだベースに、チームとしての強化もあったのではないか。
むろん、数々の舞台に出場する中で、各々が蓄積してきた経験、より上を目指す向上心も大きいだろう。
それらがあいまって、2人そろって、「楽しかった」と振り返るように、思い切って挑めたことが、メダルへとつながったように思える。
「歴史に残ることができて、自信にもつながる」
そして2人は、率直に、喜びを表した。
平野は言う。
「オリンピックを目標に小さい頃からやってきて、思ったより成績が出て、最年少メダリストという歴史に残るようなことができて、今後の自信にもつながると思います」
一方の平岡。
「2人で銀と銅を取れて、めっちゃ、うれしかったです。今までスノーボードは、メダルを取ったことがなかったから、これでスノーボード界が盛り上がったらいいなと思います」
2人の活躍は、日本のスノーボードに目を向けさせ、新たな扉を開くものでもあった。