オリンピックへの道BACK NUMBER
「歩夢」「卓」と呼び合う2人の神童。
スノボ界初のメダルが日本を変える。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/13 16:30
なかなかメダルが取れなかった日本に、最初の輝きをもたらした平野歩夢(左)と平岡卓。日本のスポーツシーンに新たなスターが誕生した。
一夜明けた2人は、心底うれしそうだった。
スノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢、銅メダルの平岡卓である。今大会で日本勢として初のメダルであり、スノーボードとしてはオリンピックで初めてのメダルでもある。
「自分らしい滑りができたと思うので、結果もついてきてよかったし、楽しかったです」
平野が言えば、平岡も言う。
「とりあえず楽しめて、最高の滑りができたので、応援してくれた人の期待に応えられてよかったです」
試合を会場で観ることはかなわず、のちに映像で観ることになった。
中学3年生の平野は4歳の頃からスノーボードを始め、驚くほどの成長を示してきた。小学4年生で「BURTON」とスポンサー契約を結ぶと、数々の大会に出場し好成績をおさめる。
平野の名が確固としたものになったのは、2013年1月の「X Games」だった。オリンピックで連覇しているショーン・ホワイトに次いで準優勝を遂げたのだ。まぎれもなく、世界トップクラスであることを示してきた。
高校3年生の平岡は小学1年生でスノーボードを始め、12歳でプロスノーボーダーとなった。その後数々の国際大会で活躍し、ワールドカップや世界選手権でも好成績をおさめてきた。
ショーン・ホワイトの演技が終わり、メダルが確定。
そのキャリアからもうかがえるように、培った確かな基礎がベースにある2人は、年若くして台頭し、オリンピックに挑んだ。
決勝の2回目、平岡はダブルコークテンをはじめとするパフォーマンスで92.25点をマークすれば、平野も持ち前の高さのある技で見せる。93.50で暫定2位。平岡は3位につける。
ラスト、ショーン・ホワイトが1回目に続きミスが出て伸び悩み、4位に終わった瞬間、2人のメダルが確定した。
試合にあったのは、2人の思い切りのよさだった。その土台となったのは、チームとしての強さだったかもしれない。