ソチ五輪 雪と氷の情熱BACK NUMBER
世界10位から逆転でメダルへの挑戦。
スマイルジャパンの自信と野心。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byisifa/AFLO
posted2014/02/05 10:45
チェコとの強化試合に2連勝し、自信を深めたスマイルジャパン。キャプテン、大沢ちほもハードワークに自信を見せた。
メダルを期待されている競技ではない。
表彰台への道のりは急峻である。
それでも、「ひょっとしたら……」との期待を抱かせる。アイスホッケー女子日本代表〈スマイルジャパン〉だ。
開会式翌日の8日から行なわれる女子アイスホッケーは、8カ国による少数精鋭の戦いである。しかも、頂点へのルートは世界ランキング下位国に厳しい。
4カ国が総当たりで争うグループラウンドは、2013年の世界ランキングによって組み合わせが決定されている。アメリカ(1位)、カナダ(2位)、フィンランド(3位)、スイス(5位)のグループAは、上位2カ国が準決勝へ、3位と4位が準々決勝へ進出する。彼女たちにとってのグループラウンドは、順位決定戦という位置づけだ。
グループBは違う。ロシア(4位)、スウェーデン(6位)、ドイツ(7位)、日本(10位)のうち、準々決勝へ進出できるのは2カ国だけだ。
ランキング最下位の日本にとっては、過酷な日程。
ランキング上位への優遇措置は、スケジュールにも及ぶ。日本がグループラウンドを勝ち上がった場合、中1日で大会4試合目に臨むことになる。その一方で、グループAから準々決勝へまわった国は休養が1日多い。準決勝も中1日で開催されるが、グループAの上位2カ国は中4日のスケジュールである。波乱が巻き起こる要素を、可能なかぎり排除したレギュレーションと言ってもいい。
北米と欧州の強豪が集結した大会で、日本はランキング最下位である。五輪のリンクに立つのも、長野以来16年ぶりだ。
苦戦を予想する要素はいくらでも並べられるが、飯塚祐司監督ははっきりと語るのだ。
「メダルは手の届くところまで来ている」
スマイルジャパンの強みは、選手全員が攻守に連動する組織力であり、個々の選手が備えるスピードと敏捷性である。ハードワークを惜しまないスタイルには、「パックも人も動くホッケー」といった表現が当てはまるだろう。